このコーナーでは、人工透析患者への諸制度、即ち「医療費」「身体障害者手帳」及び「障害年金」等について、少し詳しく説明しておきましょう。

【1】医療費について

 国民健康保険・健康保険の被保険者や被扶養者及び後期高齢者医療制度加入者が人工透析のような長期にわたる治療を必要とし、しかも高額な医療費がかかる病気(具体的には下記参照)にかかった場合は、本人の申請によって保険者から「特定疾病療養受領証(マル長)」が交付され、これを医療機関に提示すれば、医療機関での自己負担の限度額は1カ月に10,000円となり、これを超えた分は高額療養費として現物給付(現金給付ではなく医療そのものの給付のこと)されます。
 従って、医療機関の窓口では、月10,000円の負担で医療を受けることができます。
 (但し、国における人工透析患者の高額療養費の患者自己負担額改正に伴い、平成18年10月より一定以上の収入<月収53万円以上>のある人の自己負担額は月額2万円>

 この「特定疾病療養受領証」の交付対象となる疾病は次の通りです。
@ 人工透析治療を行なう必要のある慢性腎不全(私達はこれに該当)
=腹膜透析(「PD」)含む=

A 血友病
B 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群

 次に、「特定疾病療養受領証」を初めて受ける交付手続きは次の通りです。
@「特定疾病療養受領証交付申請書」を加入している保険者よりもらいます。
    (社会保険加入者は勤務先の会社の健康保険組合または社会保険事務所から)
  (国民健康保険・後期高齢者医療制度加入者は各区市町村自治体保険課<係>から)
A医療機関窓口に提出し、医師の証明欄に証明を受けます。
B各保険者(交付申請書用紙をもらってきたところ)に提出します。
C「特定疾病療養受領証」が交付されます。
D今までの保険証と「特定疾病療養受領証」を医療機関窓口に提示します。(旅行等で別の医療機関で臨時透析を行う場合も必要)
 尚、会社の健康保険組合から国民健康保険に切り替えた場合等保険者・保険証が変ったときも新しい保険者から「特定疾病療養受領証」交付を受ける必要がありますが、この場合は医療機関の証明は必要なく、申請書に前の保険者から交付された「特定疾病療養受領証」のコピーを添付すればOKです。

◆東京都の場合(東京都の独自制度)、人工透析を必要とする慢性腎不全患者に対して、医療保険各法・後期高齢者医療制度等を適用した人工透析に関連する医療費等の自己負担分の助成を行なっています。
(つまり上記月10,000円の自己負担分がなくなります。但し、月収53万円以上の人は平成18年10月より新たに月1万円の自己負担が発生します。)
この助成を受けるためには、いわゆる「マル都医療券」を発行してもらいます。      
「マル都医療券」は、申請書等一式を保健所等に提出した日から有効になりますので、人工透析開始後速やかに保健所等に申請する必要があります。
「マル都医療券」申請に必要な書類は次の通りです。
@難病医療費助成申請書兼同意書(保健所等にあります。)
A住民票(後期高齢者医療制度加入者の場合は後期高齢者医療被保険者証の写しでOK)
B健康保険証の写し(後期高齢者医療制度加入者以外)
C特定疾病療養受領証の写し
(診断書は、平成15年4月1日以降の申請から不要)
 東京都から「マル都医療券」が交付されたら、健康保険証・特定疾病療養受領証等と一緒に医療機関の窓口に提示しなければなりません。
 尚、会社の健康保険組合から国民健康保険に切り替えた場合等保険者・保険証が変ったときは、新健康保険証と新特定疾病療養受領証の写しを添えて「変更届(保健所等に備付)」を保健所等に提出しなければなりません。

【2】身体障害者手帳について
 身体障害者手帳は、各種の福祉サービスを受けるために必要となるもので、身体障害者手帳の交付対象となる障害の範囲は、身体障害者福祉法によって定められており、身体障害者障害程度等級表により1級から6級までの区分が設けられています。
 人工透析患者は内部疾患の「身体障害者1級」に認定されます。
 (血液透析・腹膜透析「PD」等の透析に完全に移行した場合)

 身体障害者手帳の交付を受けるには次の取得手続きが必要です。
@ 申請は居住地の福祉事務所または各区市町村自治体窓口の福祉担当課(係)です。
A 窓口で診断書用紙をもらい、指定医(窓口で確認)の判定を受けます。
B 判定の結果手帳に該当すれば、申請書・診断書に写真を添えて提出し、約1ヵ月後に交付されます。
<申請に必要なもの>
・身体障害者手帳申請書
・指定医師の診断書
・写真1枚(タテ4cm×ヨコ3cm)
・印鑑

 身体障害者手帳の取得により受けられる福祉サービスは次の通りです。
@ 更生医療の給付
A 所得税・住民税・相続税の控除
B 自動車税・自動車取得税の減免
C 新マル優制度の利用(預貯金の利子の非課税扱い)
D 有料道路通行料金の割引
E JR・私鉄・バス等旅客運賃の割引
F タクシー料金の割引
(タクシー料金の割引の他、わが自治体では1枚600円のタクシー・ガソリン費助成券が年間48枚<28,800円分>支給しています。<身体障害者手帳1級と2級対象> さらに、平成23年度より、透析患者に限り年間24枚<14,400円分>を追加支給しています。)
G 補装具の給付(杖・補装靴等)
H 美術館等公共の文化施設の入場料の割引
I その他各自治体の独自福祉サーービス
(わが自治体でも郵便ハガキ<いわゆる「青い鳥ハガキ」>が年1回<受付期間毎年4月1日〜
5月31日=4/1と5/31が土・日曜日に重なる場合はいずれも翌営業日=>20枚無料で
近くの日本郵便事業(株)の集配局からもらえます。但し、実際にこのハガキを受け取れるのは、
4月20日(この日が土・日曜日に重なる場合は翌営業日)からです。
<身体障害者手帳1級と2級対象>)


<注>
上記福祉サービスは、身体障害者等級・種別・所得・居住地の福祉制度により該当しない場合があります。いずれにしても、詳しくは居住地各自治体の福祉担当窓口へ問い合わせ・確認の必要があります。

また、身体障害者への医療費助成の一環として、人工透析患者等身体障害者手帳1級取得者は、「心身障害者医療受給者証(「マル障受給者証」)」が交付され、これを医療機関に提示すれば人工透析関連以外の疾病についても、医療費の自己負担分の内住民税課税者の場合は一部負担(1割負担・入院時の食事負担)を除く額が助成されます。(マル一部とマル食と受給証に表示)
この自己負担分のうち、住民税非課税者の場合は、入院時の食事負担を除いてなくなります。(マル食のみ受給証に表示)
尚、後期高齢者医療制度加入者で「マル障受給者証」対象者は、マル食のみ受給証に表示されます。
=65歳以上75歳未満の人工透析患者は、後期高齢者医療制度による医療を選択することができます。=
但し、上記「心身障害者医療受給者証」の交付を受けるには次のような所得制限があります。
 @対象者が20歳以上の場合は、本人の前年の所得額が概ね3,604,000円以下であること。(平成14年9月改正)
  <扶養親族が一人増すごとに380,000円を加算>
 A対象者が20歳未満の場合は、国民健康保険の世帯主または健康保険等の被保険者本人の前年の所得が上記@以下であること。
毎年9月が「心身障害者医療受給者証」の交付申請時期になっていますので、該当する場合は各区市町村自治体窓口の福祉担当課(係)において交付申請手続きを行なう必要があります。
交付申請の際の必要書類は次の通りです。
@交付申請書
A身体障害者手帳
B健康保険証
C所得証明書
D印鑑
尚、上記のいわゆる「マル障受給者証」は、平成12年9月より、満65歳以上は新規交付が廃止となりました。この背景と事情は、平成12年4月施行の介護保険との整合性、社会経済情勢の変化等(要するに医療費の削減)があるようです。同時期に、支給されていた下記のうち「心身障害者福祉手当(20歳以上月額15,500円)」も満65歳以上には支給されないことになりました。

さらに、人工透析患者等身体障害者手帳1級取得者には、いずれも上記同様の所得制限がありますが、東京都の場合を例に挙げると「心身障害者福祉手当(20歳以上月額15,500円)」か「児童育成や手当<障害手当>(20歳未満保護者へ月額15,500円)」及び国制度の「特別児童扶養手当(20歳未満保護者へ月額51,550円)」等が支給されます。
該当する場合は各区市町村自治体窓口の福祉担当課(係)において、手当の有無含め問い合わせ・確認・申請手続きを行なう必要があります。
(以上の「マル障受給者証」や「心身障害者福祉手当」の問題は、東京都の場合です。)

【3】障害年金について
 障害年金は、病気や障害等で日常生活や就労が困難になった場合に支給されます。
 (1)障害年金は、その障害の程度によって障害等級1級〜3級まであり、人工透析患者の障害年金上の障害等級は日本年金機構の指定医(技監)により診断書に基いて審査されますが、基本的に障害等級2級もしくは3級に認定されます。
(身体障害者手帳の等級とは全く連動していません。)
 
(2)障害等級2級に認定された場合の障害年金支給額(年額)は次の通りです。(実態として、結果として人工透析患者は2級に認定される場合が多い。)

・国民年金の場合(障害基礎年金)
  778,500円+子の加算
<子の加算>
  第1子・第2子   各224,000円
  第3子以降      各74,600円
・厚生年金の場合(障害厚生年金)―公務員の場合は「障害共済年金」―
 上記「障害基礎年金」に加え、
 〔{(平均標準報酬月額)×7.50/1000×(平成15年3月までの被保険者期間の月数)}
 +{(平均標準報酬額)×5.769/1000×(平成15年4月以後の被保険者期間の月数)}〕
 ×1.031×0.968
 +配偶者の加給年金額(224,000円)
 <注>
 @平均標準報酬月額とは、平成15年3月までの被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月までの被保険者期間の月数で除して得た額です。
 A平均標準報酬額とは、平成15年4月以後の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で除して得た額(賞与を含めた平均月収)です。
 B被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額計算の基礎とはされません。(障害等級3級の場合も同様)

(3) 障害等級3級に認定された場合の障害年金支給額(年額)は次の通りです。
・国民年金の場合(障害基礎年金)
 障害基礎年金は障害等級1級・2級だけなので支給されません。
・厚生年金の場合(障害厚生年金)―公務員の場合は「障害共済年金」―
 〔{(平均標準報酬月額)×7.50/1000×(平成15年3月までの被保険者期間の月数)}
 +{(平均標準報酬額)×5.769/1000×(平成15年4月以後の被保険者期間の月数)}〕
 ×1.031×0.968 
⇒〔最低補償額583,900円〕
 <注>障害等級3級に認定された場合、国民年金のみ加入者(厚生年金等非加入者)には障害年金は支給されません。
 =因みに私の場合他の身体障害もあるので障害等級1級に認定=

(4)障害年金を受けるには次の3つの要件が必要になります。(受給要件)
@障害の原因となった傷病の初診日が国民年金、厚生年金等の被保険 者期間中または共済組合の組合員期間中にあること。
A障害認定日(初診日から1年6カ月を経過した日)において障害の程度が政令で定められた一定の基準以上の状態にあるか、または65歳に達するまでの間に一定の基準以上の障害の状態にあること。
B初診日の前日までに原則として一定期間(加入期間の3分の2以上)の保険料が納付(または保険料免除期間)されていること。(但し、特例として平成18年3月31日以前までの期間であれば、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納期間がなければよいこととされていましたが、今般、この特例が延長され、平成28年3月31日以前までの期間となりました。)

 <注>
 20歳に達する前に初診日(被用者年金の加入期間ではない)がある傷病で障害になった場合は、20歳に達したとき(障害認定日が20歳以上の場合はその障害認定日)に障害の程度が1級または2級の状態にあれば、障害基礎年金が支給されます。
〈但し、「所得制限」等の規定が設けられています。即ち、20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、本人が保険料を納付していないことから、所得制限が設けられており、年間所得額が398万4干円(2人世帯)を超える場合には年金額の2分の1相当額に限り支給停止とし、500万1干円を超える場合には全額支給停止とする二段階制がとられています。)
 尚、日本年金機構のホームページから、「障害年金」ページを次に紹介しておきましょう。
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3226
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3227

(5)障害年金申請手続き
 @必要書類
・障害年金の申請書(裁定請求書)
・年金手帳または厚生年金保険被保険者証
・診断書
・病歴、就労状況等申立書
・戸籍抄本
・その他必要に応じて(生計維持証明書等)
 A申請書提出先(問い合わせ先も同様)
・国民年金加入者⇒居住地の各区市町村自治体窓口の国民年金担当課(係)
・厚生年金加入者⇒最後に勤めた(勤めている)事業所を管轄する社会保険事務所
・ 共済年金加入者⇒各共済組合

(6)平成18年度から、障害を持ちながら働いたことが評価される仕組みとして、65歳以上の人は、障害基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と遺族厚生年金の組み合せについて併せて受給(併給)することができるようになりました。
尚、併給を申請される場合は、「年金受給選択申出書」を提出する必要があります。
詳しくは、こちら(日本年金機構PDFファイル)をご覧ください。


◆ここで、人工透析と介護保険との関連について簡単に説明しておきましょう。
 まず、介護保険を受けるためには、次の対象者と費用をまず基本的に認識しておく必要があります。
【1】対象者
65歳以上及び40歳以上の特定16疾病患者で、要介護認定を受けた人
<特定16疾病>
1筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)
2骨折を伴う骨粗しょう症(こっせつをともなうこつそしょうしょう)
3後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこうかしょう)
4多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう)
5脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)
6脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
7初老期における認知症(しょろうきにおけるにんちしょう)
8早老症(そうろうしょう)
9糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
(とうにょうびょうせいしんけいしょうがい、とうにょうびょうせいじんしょうおよびとうにょうびょうせいもうまくしょう)
10脳血管疾患(のうけっかんしっかん)
11閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
12パーキンソン病関連疾患(パーキンソンびょうかんれんしっかん)
13がん(がん末期)<がんまっき>
14慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)
15関節リウマチ(かんせつリウマチ)
16両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
(りょうがわのしつかんせつまたはこかんせつにいちじるしいへんけいをともなうへんけいせいかんせつしょう)
【2】費用
利用料の1割負担
 さて、人工透析患者の場合ですが、
・65歳以上で要介護者または要支援者となった場合に受給権即ち介護保険を受けることができます。(もちろん人工透析でなくても)
・40歳以上65歳未満は特定16疾病患者であることが必要でかつ要介護者または要支援者となった場合に受給権即ち介護保険を受けることができます。
 (人工透析が特定16疾病患者に入るかどうかが問題ですが、原疾患が「糖尿病性腎症」であればこの特定疾病患者に入るようです。)
 要するに、身体障害者手帳1級を取得できる人工透析患者であれば自動的に介護保険を受けられるということは全くなく、あくまでも高齢等により介護の必要性と必要度が判定されますので、単に病気の判定とは異なります。
 いずれにしても、詳しいことは各区市町村自治体窓口の介護福祉課(係)に問い合わせ・確認する必要があります。
尚、平成12年4月に始まった介護保険制度を初めて大幅に見直した改正介護保険法が、平成18年4月1日に全面施行されました。膨らみ続ける給付費の抑制に向け、できるだけ介護が必要にならないよう、新たに運動機能の向上等の「予防サービス(「新予防給付」)」を導入するほか、一人暮らしや認知症の高齢者が、住み慣れた地域で生活することを支える「地域密着型サービス」も創設するのが特徴です。そこで、改正介護保険法の概要について、ここであらましを説明しておきましょう。
 今回の改正では、要介護認定区分をそれまでの6段階(「要支援」と「要介護1〜5」)から7段階にしています。即ち、それまでの「要支援」と「要介護1」のほとんどは、平成18年4月から新区分の「要支援1」と「要支援2」に移行し、「予防サービス」の対象になります。厚生労働省では、年間約160万人がこのサービスを受けるものとみています。
 この「予防サービス」は15種類です。例えば、「予防型」の通所サービスでは、@運動機能の向上、A食事指導による栄養改善、B感染症を防ぐ口腔ケア等で、介護が必要な状態になりにくい生活を目指します。訪問介護も受けられますが、ヘルパーと一緒に家事に取り組むなど、高齢者の自立を促す内容になっています。新区分の要介護1〜5と判定されると、これまで通りの介護サービスが受けられます。
 全国の市町村のうち約9割は、平成18年4月から「予防サービス」を始めましたが、準備が整わない自治体については、2年以内に実施することになっています。また、今は健康でも、近い将来に介護が必要になりそうな人には、市町村が保険とは別枠の「地域支援事業」で予防サービスを提供することになっています。
 「地域密着型サービス」では、夜間も含め必要なときにヘルパーを呼べる「夜間対応型訪問介護」や泊まり・通所等様々なサービスを提供する「小規模多機能型居宅介護」が新たに始まっています。
 「予防サービス」の通所介護・訪問介護、「地域密着型サービス」の「小規模多機能型居宅介護」等の費用には、定額制を導入、「要支援1、2」で週1回程度の訪問介護を利用したときの自己負担は、月1,234円になります。

◆尚、平成15年4月1日から実施された介護保険改定のうち、「通院等乗降介助」が新設されましたが、介護保険を使って通院している人工透析患者への大きな影響をはじめ、この「通院等乗降介助」の新設をめぐっていろいろな混乱が生じ社会問題化していますので、「通院等乗降介助」の具体的内容、問題点及び東京都の取扱い等について、現時点わかっていることを整理しておきましょう。

(1)「通院等乗降介助」の内容
 @新設の背景
従来はすべて介護保険「身体介護」の通院外出介助を適用していましたが、平成15年4月1日以降は、この「身体介護」の中の通院外出介助の部分を切り離し、新たに「通院等乗降介助」が設けられたのです。即ち、通院等のために乗車・降車の介助を行なった場合に算定対象を限定して介護報酬の適正化を図るというものです。
但し、「要介護度4」及び「要介護度5」は、必要があれば従来通り身体介護の算定対象となります。
(こうしないと、介護タクシー利用をはじめ安易にその必要性のない者までが通院等に介護報酬が使われてしまい、このまま放置しておけば介護保険財政を大きく圧迫しかねないとの厚生労働省の危機感があったものとみられます。)
 A具体的内容
「通院等乗降介助」は、正式には「通院等のための乗車または降車の介助が中心である場合」と言い、具体的内容は、『要介護1以上(要支援は除く)の認定を受けた利用者に対して、通院等のため、指定訪問介護事務所の訪問介護員等が、自らの運転する車両への乗車又は降車の介助を行うとともに、併せて、乗車前又は降車後の屋内外における移動等の介助又は通院もしくは外出先での受診等の手続きや移動等の介肋を行った場合に所定単位数(時間に関係なく1回100単位)を算定(但し、「要介護度4」及び「要介護度5」は、必要があれば従来通り身体介護の算定対象)』というものです。

(2)問題点
 @医療機関⇔自宅のいわゆる通院等における「移送時間」は、介護保険が適用されない。
  (厚生労働省の介護保険導入以来一貫した考え)
  =今後「移送時間」も介護保険適用対象にすべき=
 A道路運送法により、基本的には通院サービスを行なう訪問介護事業所もタクシー免許を取得しなければならないということで、そのための経費増から訪問介護事業所が通院等の移送分野から撤退するところもあり、高齢化か進み介護移送の需要が増加の一途にある中で、週3回介護移送が必要な人工透析患者等が利用できなくなっている実態もある。
(訪問介護事業所も移送サービスを行なう場合はタクシー免許を取得しなければならないというのは、国土交通省や東京都の考え方であり、厚生労働省では「新たに一律に道路運送法の許可<タクシー免許の取得>を受けなければ介護保険の適用を受けられなくなるというものではない」としており、この点も混乱の一因となっている。
 ただ、東京都と埼玉県は厚生労働省との調整の中で、厚生労働省は、基本的な考え方は変わらないが、東京都の考え方<タクシー免許必要>も、安全面も含めた利用者保護の観点から首都圏の交通事情も考慮し本質的な認識として認めざるを得ないとしています。
 但し、違反しているからといって、訪問介護事業所等の白ナンバー車を現時点積極的に取り締まってはいないようです。)

あるいは、介護タクシーにおいても、実際問題として実質介護報酬引き下げにより、経営上採算が合わなくなり、同様に通院等の移送分野から撤退するか、もしくは料金を大幅にアップしているのが実態である。そのため、人工透析患者等が利用できなくなっているか、大幅な負担増を強いられている。(利用者への一方的なしわ寄せ)
 B実態として、平成15年4月以降も訪問介護事業所のヘルパーが事業所の車等を使って送迎介助した場合、「要介護度1」から「要介護度3」の透析患者利用者に対しても、引き続き「身体介護」(例:30分未満で231単位、30分以上1時間未満で402単位)を適用してくれているケースも多く存在している。(今後も要介護度に拘らずこのようにしてくれるのが訪問介護事業所の経営安定も含め利用者の切なる願いです。)
  
(3)東京都の場合の介護報酬上の取扱いについて
 以上のような状況の中で、平成15年6月16日付の〔『「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」及び「身体介護が中心である場合」の適用関係等の取扱いについて』の介護報酬上の取扱いについて〕とややこしい件名の事務連絡文書(東京都福祉局保険部介護保険課長発信、介護保険の保険者である各区市町村介護保険担当課長宛)が手に入りましたので、その内容を要約して紹介しておきましょう。(これまでの取り扱いを整理したもの)
 都道府県に「通院等のための乗車又は降車の介助」の届出を行なった場合と届出を行なわなかった場合とでは、その対応が大きく二つに分かれますので、それぞれ具体的に説明します。
●都道府県に「通院等のための乗車又は降車の介助」の届出を行なった場合(タクシー免許取得が前提)
 @都道府県に「通院等のための乗車又は降車の介助」の届出を行なった訪問事業所の訪問介護員が、訪問介護計画に基づく『通院等のための乗車又は降車の介助が中心』を行なった場合
 次の介護サービスが受けられます。(要介護度1〜5)
 ・通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合は、1回100単位・往復だと2回200単位の単位数を算定できます。
 <片道(1回)100単位の例>
自宅(乗車前介助・乗車介助)⇒(運転中)⇒降車介助⇒受信等手続き⇒病院(院内介助―100単位に包括―)
<往復(2回分)200単位の場合の例>
自宅(乗車前介助・乗車介助)⇒(運転中)⇒降車介助⇒受信等手続き⇒病院(院内介助―200単位に包括―)⇒薬受取り等⇒乗車介助⇒(運転中)⇒自宅(降車介助・降車後介助)
・通院等のための乗車又は降車の介助の前後にそれぞれ所要時間(30分以上)に応じた「生活援助」を行なう場合は、1回100単位・往復だと2回200単位+生活援助対応単位の単位数を算定できます。
<片道の場合の例>
自宅(生活援助)⇒自宅(乗車前介助・乗車介助)⇒(運転中)⇒降車介助⇒受信等手続き⇒病院(院内介助―100単位に包括―)
<往復の場合の例>
自宅(生活援助)⇒自宅(乗車前介助・乗車介助)⇒(運転中)⇒降車介助⇒受信等手続き⇒病院(院内介助―200単位に包括―)⇒薬受取り等⇒乗車介助⇒(運転中)⇒自宅(降車介助・降車後介助)⇒自宅(生活援助)
【注】前後のそれぞれの「生活援助」の単位数は次の通り。
  *所要時間30分以上1時間未満の場合 208単位
  *所要時間1時間以上の場合 291単位(30分増す毎に83単位を加算)

A都道府県に「通院等のための乗車又は降車の介助」の届出を行なった訪問事業所の訪問介護員が「要介護度4〜5」の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助の前後に連続して手間のかかる身体介護を行なった場合
次の介護サービスが受けられます。
(「要介護度1〜3」は受けられません。)
・所要時間(20分以上)に応じた「身体介護中心型(運転時間は除く)」の単位数を算定できます。
<「身体介護中心型」の例―片道の場合―>

自宅(更衣介助等)⇒乗車介助⇒移送(ヘルパーが運転)⇒降車介助⇒院内介助等
 (所要時間=自宅(更衣介助等)+乗車介助+降車介助+院内介助等=20分以上<移送前後いずれかでよい>)
 <「身体介護中心型」の例―往復(院内介助がなく「往」と「復」が連続しない場合)―>
乗車前介助⇒乗車介助⇒(運転中)⇒降車介助⇒受信等手続き⇒病院(ここで「往」終了)・薬受取り等(「復」開始)⇒乗車介助⇒(運転中)⇒降車介助⇒降車後介助
(所要時間=「往」の合計時間<運転時間除いて20分以上>
「復」の合計時間<運転時間除いて20分以上>)
<「身体介護中心型」の例―往復(院内介助があり「往」と「復」が連続する場合)―>
乗車前介助⇒乗車介助)⇒(運転中)⇒降車介助⇒受信等手続き⇒病院(院内介助)⇒薬受取り等⇒乗車介助⇒(運転中)⇒降車介助⇒降車後介助
(所要時間=すべての合計時間<運転時間除いて20分以上>)
【注】「身体介護」の単位数は次の通り。
  *所要時間30分未満の場合 231単位
  *所要時間30分以上1時間未満の場合 402単位
  *所要時間1時間以上1時間30分未満の場合 584単位
  (上記それぞれ引き続き30分以上の「生活援助」が中心である介護を行なったときは30分増す毎に83単位を加算)
  尚、自宅における外出に直接関連しない身体介護(入浴介助・食事介助等)に30分〜1時間以上を要しかつ当該身体介護が中心である場合は自宅における外出前後の身体介護の所要時間を含め、身体介護の単位数を算定できます。(上記Aの2番目と3番目の例に加えてです。)
  =要介護度1〜3であっても=

●都道府県に「通院等のための乗車又は降車の介助」の届出を行なわなかった場合
 都道府県知事に「通院等のための乗車又は降車の介助」の届出を行なっていない訪問介護事業所については、「通院等のための乗車又は降車の介助」は算定できず、乗車前又は降車(帰宅)後における自宅での所要時間を満たす身体介護又は生活援助を行なった場合に限り、通常の身体介護中心型又は生活援助中心型を算定できます。

 【東京都の事務連絡文書に関する疑問点】
=東京都福祉局保険部介護保険課とのヤリトリ=
 @訪問介護事業所もタクシー免許を取得しなければならないというのは本当か?
 A.通院等乗降介助を行なうのであれば、東京都への届出・認可が必要であり、その前提条件として陸運局からのタクシー免許の取得が必須である。

 Aだとすれば、利用者がとっても気になるのは料金なので、セットとして運転手に二種免許の義務付に加え料金メーターの設置はどうしてもしなくてはいけないのか?
 A.タクシー免許とは、運転者の二種免許取得、料金メーターの設置が義務付けられている。
 (第三種免許制度の新設等軽減措置を設けてもよいのではないか)


 B料金は、タクシーと比べ訪問介護事業所の裁量で値引きしたり、ただにしたら道路運送法に抵触するのか?
 A.タクシー免許の認可を取った上で、改めて陸運局から料金体系の認可も取らなければいけない。従って、認可も受けずに料金をタクシー料金より値引いたり、ただにすることはできない。
  (「介護報酬の中に運賃含む」という料金体系が認可されるかは疑問であり不明)


【改めての問題点】
 @「要介護度1〜3」の場合、例えば透析患者の通院を例に挙げると、ほとんどが生活援助・身体介護を必要としないケースが多い(?)と思われるが、だとすると、トータル時間に関係なく片道1回100単位(個人負担106円)で介護保険で送迎サービスを受けられることになり、一見利用者には朗報であるかのようにみえるが、訪問介護事業所サイドからみると、片道100単位分(1,060円)と移送運賃の収入となり、従来と比べ実質大幅収入ダウン(ヘルパーさんの人件費まかなえず)となって、結局のところ訪問介護事業所は送迎サービスの分野から撤退しかねず、結果として利用者にそのしわ寄せがくることになってしまうばかりか、ひいては通院介護サービスに多く従事している男性ヘルパーさんの雇用問題にもなりかねない
 また、訪問介護事業所から運賃を取られれば、要介護度に拘らず、すべての利用者が従来に比べ大幅負担増となる。
 A最終的にはケアマネージャーのさじ加減になると思うが、はっきり言って、正直にケアープランを立てれば従来通りの対応はほとんど無理と言っても過言ではない。(利用者困惑、訪問介護事業所の経営悪化<撤退につながりかねない>)
 B週3回通院しなければ命に関わる透析患者の場合例外取扱いはできないのか?(従来通り要介護度に拘らず身体介護単位数が算出できるような、移送時間を含めた対応ができないものか・・・)

  【結び】
 今後も「通院等乗降介助」新設に関わる混乱は、厚労省と国交省の思惑、保険者としての自治体の対応、訪問介護事業所の反応、特に人工透析患者をはじめ介護保険利用者の困惑と不安等が入り混じりまだ続くと思いますので、このホームーページでも更新の都度その後の状況を報告いたします。


【その後の状況】 
訪問介護事業所が「通院等乗降介助」を行なうには、都道府県知事に届出しなければならないことは既に記した通りですが、その後東京都福祉局保険部介護保険課に改めて問い合わせしたところ、東京都の場合ではたくさんの介護事業所が存在する中で、届出したのはわずか30数箇所(平成15年7月22日現在)に過ぎません。このことは、わざわざ経営を悪化させる「通院等乗降介助」を行なう前提条件即ち「タクシー免許取得」と「東京都への届出」をしてまで、介護報酬の低い(1回時間に関係なく100単位)この通院等乗降介助はしたくないとこの分野から撤退する介護業者は少なくないことが窺われます。(タクシー業界も然り)
さらに言えば、法改正通りやれば、利用者は運賃を取られて大幅負担増、運賃を取っても介護業者は大幅減収になり、この意味でも介護業者はこの移送介護の分野から撤退するということになりかねません。
従って、今後も介護業者の多くが東京都のように都道府県知事に「届出」を行なわないということになれば、何のための「通院等乗降介助」新設かわからなくなってきており、特に要介護度1〜3の人工透析患者をはじめとする利用者は大変困っているというのが実情です。
現在訪問介護業者がこの介護移送の問題をどうしているのか、水面下で何か具体的な方法があるのか、あるとすればそれは現行の法令と整合性はとれるのかなど、これらの点皆さんの中でご存知の方がおられれば是非教えていただきたいと思います。

【その後の状況(続き)】(03/09/01追加)
 東京都の場合、これまで「通院等乗降介助」を東京都知事に届出を行なった訪問介護事業所は、平成15年8月1日現在、2,086登録介護事業所のうちわずか36事業所であり(全体の1.7%)、平成15年8月1日以降も新規登録40〜5O事業所(平成15年8月22日現在)のうち「通院等乗降介助」の届出を併せ行なったところは4〜5事業所となっています。
 因みに、わが自治体でも、100を超える訪問介護事業所のうち、「都道府県知事(東京都)への届出」を行なった介護事業所はたったの5事業所です。
 (平成15年8月22日現在)
 とにかく、訪問介護業者が「通院等乗降介助」を行なうには「タクシー免許取得」が前提条件であることが大きなネックになっており、今後の訪問介護業者の対応をはじめこの「通院等乗降介助」の問題は引き続き目が放せませんので、また次回更新時に報告いたします。
 尚、実際通院サービスを行なっている非営利法人(NPO)の「タクシー免許取得」の問題をどうするか、東京都の場合この平成15年8月の段階では未だ結論が出ていないようです。  

【その後の状況(続き)】(03/12/03)
 その後、東京都の場合でこれまで「通院等乗降介助」を東京都知事に届出を行なった訪問介護事業所は、さすがに平成15年8月時点より増えて、平成15年11月1日現在、2,203登録介護事業所のうち57事業所(全体の2.6%)となりましたが、増えたと言っても依然として登録率は極めて低いと言わざるを得ません。いずれにしても、今後も顕著に増加していく趨勢にはありません。
 とにかく、訪問介護業者が「通院等乗降介助」を行なうには「タクシー免許取得」が前提条件であることが相変わらず大きなネックになっており、介護保険導入から5年経過する平成17年4月には、この「通院等乗降介助」の問題は利用者最優先で見直してもらいたいと強く期待しているところです。
 尚、実際通院サービスを行なっている非営利法人(NPO)の「タクシー免許取得」の問題をどうするか、東京都の場合この平成15年11月の段階になっても未だ結論を出していないようてす。(平成17年度の介護保険見直し時期に「通院等乗降介助」の問題がどうなるか模様眺めか?)  

【その後の状況(続き)】(04/04/09)
 現在、国土交通省は民間非営利の移送事業に対する「移送ガイドライン」の作成を検討しています。こうした中で、平成15年12月25日に「全腎協」が国土交通省に対し主に次の要望を行いました。
 @「移動困難者」に透析患者を加える。
 A福祉車両だけでなく普通車両も認める。
 B「ヘルパーによる自家輸送」を行う訪問介護事業者に「青ナンバー化」を義務付ない。
 C運転協力者に「二種免許」取得を義務付ない。
 これに対し、国土交通省の回答は次の通りでした。
 @「移動困難者」に透析患者を加える。
  A.「移動困難者」を移送サービスの対象とする。
 A福祉車両だけでなく普通車両も認める。
  A.状況から見て非営利団体の使用車両を福祉車両に限定するのは非現実的だと考えている。
 B「ヘルパーによる自家輸送」を行う訪問介護事業者に「青ナンバー化」を義務付ない。
  A.「青ナンバー化」は非現実的だと考えているが、それに代わる何らかの安全確保が必要である。
 C運転協力者に「二種免許」取得を義務付ない。
  A.自治体の判断で講習受講や無事故歴等、免許に準じた安全性確保があれば「二種免許」に限定しなくてもよい。自治体等で講習会等を自主的にやって頂くように考えていきたい。
 また、「ガイドラインに沿わないからと摘発する考えはない。」との国土交通省の方針は従来通りとのことです。
 一方、平成16年2月5日、厚生労働省に対しても「全腎協」は、要介護透析患者の通院に関する要望を行いました。これは、国土交通省のガイドラインの発表を控え、厚生労働省の対応も注目されるからです。即ち、前から指摘されている「移送サービスを介護保険の本体給付に加えて欲しい。」という要望です。
 これに対し、厚生労働省の回答は、「公共交通機関等がバリアフリー化を進めることが基本」との回答にとどまっています。また併せて厚生労働省は、「利用者がサービスを受けられなくなるような状況が発生しないように、国土交通省と調整を行っていく。」と回答しています。
 以上のように、移送サービスの問題は、非営利団体(NPO)の問題・介護保険の通院等乗降介助上の問題・道路交通法や道路運送法上の問題・国土交通省と厚生労働省の縦割り行政の問題・各自治体の対応の問題・各訪問介護事業者の対応の問題等が複雑に絡み合って、先行きどうなるかまだ極めて不透明ですので、今後も関心を持って注視していきたいと思っています。

 【その後の状況(続き)】(04/06/1)
 国土交通省は、3月に「ボランティア有償運送」と「過疎地有償運送」の取り扱いについて、自動車交通局長名で通知を出しました。今後この移送の「ガイドライン」は、平成16年3月31日以降の申請に適用されていますので、この「ガイドライン」の概要について紹介しておきましょう。
 【「ガイドライン」の概要】
 @地方公共団体が地域の関係者による『運営協議会』を設け、必要と認められ場合に地方公共団体の長がNPO法人、社会福祉法人、公益法人等に依頼して行う。(東京都の場合、残念ながら平成16年6月1日現在東京都含め「運営協議会」を立ち上げた自治体は私の知る限り一つもありません。)
 A福祉有償運送の対象は、介護保険認定者及び障害等で会員として登録された人とする。
 B運転者は二種免許所持者でなくとも可とする。
 C使用車両は車椅子対応等の特殊車両とする。(当分の間特区でのみ一般車両も可)
 D運送の対価は「営利にいたらない範囲」でタクシー上限運賃額の2分の1以下とする。
 E使用車両の車体側面に「有償運送車両」または「80条許可車両」の文字表示をする。
 以上により、国土交通省は、これまで基準のなかった要介護者のボランティア移送と介護事業者による自家移送に対する道路運送法上の取り扱いを明確にしたとしていますが、この基準に合致しないためにただちにその事業を違法とはせず、2年程度の準備期間を置くとしています。今後、小規模団体の移送事業者がどのように扱われていくかその動向を見守る必要があります。
 尚、これと併行して厚労省と国交省は平成16年3月16日に介護サービス事業者が行う通所・通院等の移送の取り扱い方針を発表いたしましたので、これについてもその概要を紹介しておきましょう。
 【通所・通院等の移送の取り扱い方針の概要】
 @事業者等は原則として道路運送法の事業許可を受ける。(タクシー免許の取得)
 ANPO法人等の非営利法人は一定の手続きと条件の下で自家用自動車の有償運送許可を受ける。
 Bホームヘルパーが自己の車両で介護者等を有償で運送する場合も自家用自動車の有償運送許可を受ける。
 C一定の準備期間の後無許可で輸送を行う事業者は介護報酬の対象としない。
 尚、上記の【「ガイドライン」の概要】にしても【通所・通院等の移送の取り扱い方針の概要】にしても、まだ現時点全く機能していず、実態もありませんし、不明確で解りにくいところもありますので、引き続きこれらの問題については注意深くウオッチしていきたいと考えています。

【その後の状況(続き)】(05/07/1)
 国土交通省から、一昨年(平成16年)3月に「ボランティア有償運送」と「過疎地有償運送」の取り扱いについてのいわゆる移送の「ガイドライン」が出され、平成16年3月31日以降の申請に適用されることになっていますが、その前提として、地方公共団体が地域の関係者による『運営協議会』を設け、必要と認められ場合にNPO法人、社会福祉法人、公益法人等にその『運営協議会』が依頼して行うことが必要です。ところが、わが東京都が自ら『運営協議会』を立ち上げる考えは当初より一貫して全くなく、平成17年7月1日現在、傘下の各自治体も単独で『運営協議会』を立ち上げたところは相変わらずまだ一つもありません。どうも、東京都傘下の各自治体は、全体を地域毎に4ブロックに分けて、ブロック別の『運営協議会』共同設置の方向で動いているようです。
 国土交通省は、これまで基準のなかった要介護者のボランティア移送と介護事業者による自家移送に対する道路運送法上の取り扱いを「ガイドライン」によって明確にしたとしていますが、この基準に合致しないためにただちにその事業を違法とはせず、2年程度の準備期間(平成18年3月まで)を置くとしていますが、いずれにしても、『運営協議会』早期立ち上げの必要性を感じますし、各自治体はこのバトンタッチゾーンに胡坐をかいているとしか思えません。
 引き続きこの問題については、わが自治体のみならず他自治体の動きもじっくりみていきたい と考えています。

【その後の状況(続き)】(06/03/31)
 国土交通省から、一昨年(平成16年)3月に「ボランティア有償運送」と「過疎地有償運送」の取り扱いについてのいわゆる移送の「ガイドライン」が出され、平成16年3月31日以降の申請に適用されることになっていますが、その前提として、地方公共団体が地域の関係者(自治体やタクシー協会や利用者や学識経験者等で構成)による『運営協議会』を設け、必要と認められ場合にNPO法人、社会福祉法人、公益法人等にその『運営協議会』が依頼して行うことが必要であり、2年程度の準備期間(平成18年3月まで)を置くとして現在に至っています。しかしながら、未だにこの『運営協議会』の設置すらままならない地域もあり、混乱が続いています。即ち、高齢者や障害者を支援する全国のNPO団体等が岐路に立たされています。4月以降は、いわゆる「白タク」行為と見なされ、こうした団体が捕まることにもなりかねません。そこで、わが自治体の実態はどうなっているのか電話で担当者に確認したところ、概ね次の通りでした。
 わが自治体では、わが自治体を含め近隣26市町村の共同設置ということで、既に『運営協議会』が立ち上がっております。メンバーは15名で、平成18年3月31日現在、八つのNPO法人と一つの社会福祉法人については、この『運営協議会』の審査を終了しており、あとは国土交通省の該当運輸支局へ申請して許可がおりれば、これらの団体の「ボランティア有償運送」が正式に可能となるわけです。(さらに2ヶ月くらい先になりそう)
 尚、『運営協議会』は、全国的にみるとまだ立ち上がっていないところも多いので、このための準備期間をさらに延長、半年後の平成18年9月30日まで、「重点指導期間」が全国対応措置として新たに設けられました。

【その後の状況(続き)】(06/12/1)
国土交通省(以下国交省)は、平成18年9月7日、自家用車有償運送に関する新たなガイドラインを公布しました。それに伴い、同年10月1日から市区町村やNPO(非営利組織)が自家用自動車を使って有料で病院や施設への送迎を行うことは、「許可制」から国交省への「登録制」になりました。さらに、有償運送の形態は次の3つに分類されました。
@市区町村運営有償運送
A過疎地有償運送
B福祉有償輸送(NPO等が乗車定員11人未満の自動車を使用して、他人の介助によらず移動することが困難であり、単独で、タクシー等の公共交通機関を利用することが困難な身体障害者、要介護者、要支援者、その他障害者を有する者などの運送を行うもの)
同時に、有償運送の対価(利用者が支払う金額)基準については、燃料費などを勘案した実費の範囲であることが示されました。透析患者の送迎に最も関わる上記B福祉有償輸送の対価は、従来と変わらず『タクシーの上限運賃の1/2が目安』となりました。
以前から「ボランティア送迎団体」にとって懸案となっていた「謝礼」については、金銭のやりとりが行われる場合は、その多寡に関係なく「登録」が必要になります。但し、団体活動の維持・運営に当たる年会費・入会費などは対価に含まれませんが、「謝礼」が会費として会の運営に当てられる場合でも、その一部が送迎したボランティアへの報酬に充てられるのなら、「登録」が必要です。尚、ガソリン代、道路通行料、駐車料金など自動車を運行するのに必要な支払いだけが行なわれるのなら、有償運送の対象にはならず「登録」は必要ありません。
また、上記B福祉有償輸送は原則として1台につき1人の個別運送ですが、透析患者の場合は、1回に複数の患者を送迎する乗合送迎が認められました。