平成14年4月1日より、社会保険診療報酬等の大幅改定(人工透析関連含め)があり、その後2年毎に人工透析に係わる診療報酬も改定されてきておりますので、ここで人工透析に係わる診療報酬改定の概要について、その経過を含め説明しておきましょう。まず、平成14年度の改訂内容を記載し、その後の改訂については【追記】という形で載せていきます。
【1】平成14年度社会保険診療報酬等改定の基本的考え方
(1)賃金・物価動向・経済動向を踏まえ、平均▲2・7%の改定を行なう。
基本診察料を含め広範の項目について合理化し、医療の質の向上等の観点から重点的な評価を実施する。
(2)具体的には、効率的な医療提供体制の確保・患者の特性に応じた医療の評価・医療技術の適正評価等の観点から、所要の見直しを実施する。
さらに、体系的な見直しを図る観点から、長期入院に係る保険給付範囲の見直し・特定機能病院等における医療機関別包括括評価の導入・患者ニーズの多様化に対応するための特定療養費制度見直しを行なう。
(3)さらには、平成14年度薬価制度改革、保険医療材料制度改革にあわせて、薬剤関係技術料の見直しや医療技術に係わる施設要件の見直しを行なう。
【2】平成14年度人工透析に係わる診療報酬改定について
◆診療報酬改定の背景
(1)人工透析患者は年々増え続け、1996年末に167,192人であったものが、
8年後の
2004年末には
248,166人とこの間人数にして
80,974人、率にして
48%も増加しており、年間医療費も、約
28兆円の医療費全体のうち、約1兆円が透析を含めた腎不全関連の医療費に使われています。
(2)全体の医療費の圧縮を余儀なくされている中で、人工透析医療についても透析実施時間による評価を廃止し、障害等により特別の対応が必要な患者に対する重点化が図られました。実際の人工透析患者の透析実施時間の実態をみると、4時間以上5時間未満が8割を超え、残り半分づつが4時間未満と5時間以上透析となっています。
(3)食事加算については、医療全体が食事療養費の対応になっている今日、公平・公正感から人工透析患者もその負担はやむを得ないとするものです。
(4)その他の人工透析診療報酬等についても、全体の医療費削減の一環として引き下げられました。
◆診療報酬改定の具体的内容
(1)従来は、人工透析の実施時間により診療報酬点数(1点=10円)が定められていましたが、以下のように一本化されました。
<人工腎臓(1日につき)>
=外来透析の場合=
| 透析時間 |
旧診療報酬点数 |
新診療報酬点数 |
| 4時間未満 |
1,630点 |
時間区分撤廃
一律1,960点 |
| 4時間以上5時間未満 |
2,110点 |
| 5時間以上 |
2,210点 |
=入院透析の場合=
| 透析時間 |
旧診療報酬点数 |
新診療報酬点数 |
| 4時間未満 |
1,335点 |
時間区分撤廃
一律1,590点 |
| 4時間以上5時間未満 |
1,770点 |
| 5時間以上 |
1,870点 |
(2)その代わり、障害者加算の対象が見直されました。次のような著しく人工腎臓が困難な障害者等に対して人工透析を行なう場合には、1日につき120点が加算されます。
@難病指定を受けている患者で介護を要する者
Aインスリン注射を行なっている糖尿病の患者
B運動麻痺を伴う脳血管疾患患者
C末期癌患者で入院中の者
D人工呼吸器使用中患者、重症心不全患者、妊婦、0〜12歳までの乳幼児、
配菌中の結核患者(新設項目)
(3)外来人工透析患者の透析時間中の食事加算(食事<治療食>を提供した場合63点)が廃止されました。
(4)その他次表の項目の診療報酬等がそれぞれ引き下げられました。
| 対象項目 |
旧診療報酬点数 |
新診療報酬点数 |
| 透析の検査 |
慢性維持透析患者
外来医学管理料 2,800点 |
2,670点 |
| 自己腹膜灌流指導管理料 |
紫外線殺菌を使用 400点
又は自己腹膜灌流装置を使用
2,700点 |
360点
2,500点 |
| ダイアライザー |
9.5%の価格引下げ |
| 薬関係 |
平均5%以上の薬価引き下げ(透析でよく使用するもの) |
尚、一説によれば人工透析患者一人あたりの医療費は、月額約43万円だそうです。
【追記】
平成16年4月1日からの人工透析診療報酬の主な引き下げ内容
(1)慢性維持透析患者外来医学管理料(月1回)
2,670点→2,460点
(2)人工腎臓用特定医療材料価格(ダイアライザー1個あたり)
・T型1.5u未満 2,920円→2,630円
・T型1.5u以上 2,970円→2,420円
・U型1.5u未満 3,090円→2,750円
・U型1.5u以上 3,190円→2,800円
・特定積層型 9,720円→8,250円
【追記】
平成18年4月1日からの人工透析診療報酬の主な改定内容
1.基本的考え方
@慢性維持透析患者外来医学管理料は、安定した状態にある慢性維持透析患者について、特定の検査結果に基づく計画的な治療管理を評価した項目であり、検体検査実施料等が包括されている。今回改定において、市場実勢価格を踏まえた検体検査実施料の見直しが行われることから、当該項目についても併せて見直しを行うこととする。
A人工腎臓には夜間又は休日に実施した場合に加算を算定することとしているが、人工腎臓は計画的に実施されること、そのため実施医療機関は診療応需の体制にあること等から、当該加算に係わる評価を引き下げることとする。
Bまた、大部分の慢性維持透析患者は、人工腎臓実施時にエリスロポエチン製剤の投与を受けており、適切な透析の実施により一定程度貧血の改善が期待される。こうしたことを踏まえ、人工腎臓の適切な評価及び請求事務の簡素化を図る観点から、エリスロポエチン製剤について人工腎臓に含め包括的に評価することとする。(出来高払いから包括払いに改める。)
2.診療報酬点数
@慢性維持透析患者外来医学管理料について、検体検査実施料の見直しを踏まえ、適正化を行う。
<慢性維持透析患者外来医学管理料>
2,460点→2,305点(▲155点)
A人工腎臓の夜間加算及び休日加算について、評価を引き下げる。
<人工腎臓に係わる夜間加算及び休日加算>
500点→300点(▲200点)
B人工腎臓について、エリスロポエチン製剤を含め包括的に評価して適正化する。
<人工腎臓(入院中以外の場合)=人工透析技術料・人工透析手技料>
1,960点→2,250点(+290点⇒しかし、実際にはEPO製剤1500単位1回の使用にも満たない。)
3.人工腎臓用特定医療材料価格(ダイアライザー等1個あたり)
・T型1.5u未満 2,630円→2,300円
T型1.5u以上 2,420円→2,070円
・U型1.5u未満 2,750円→1,660円
U型1.5u以上 2,800円→1,880円
・V型1.5u未満 1,710円
V型1.5u以上 2,220円
・W型1.5u未満 2,240円
W型1.5u以上 2,350円
・X型1.5u未満 2,620円
X型1.5u以上 2,660円
・特定積層型 8,250円→7,920円
・ヘモフィルター 8,530円→5,360円
・吸着型血液浄化器
腎補助用 48,300円→36,100円
β2ーMG除去用 25,400円→23,400円
<注>ダイアライザーは「β2ーMG」除去率に応じてT型からX型に分類
・T型 10%以下
・U型 10〜30%以下
・V型 30〜50%以下
・W型 50〜70%以下
・X型 70%以上
(X型は「APS−E」のみ)
【追記】
平成20年4月1日からの人工透析診療報酬の主な改定内容
1.基本的考え方
副作用等により、透析時間を長くせざる得ない患者がいることや、透析時間が生命予後に影響を与える可能性があること等を考慮し、透析時間に応じた、診療報酬上の評価を行う。
2.診療報酬点数(透析時間に応じた評価の再導入)
入院中の患者以外の患者に対して行った場合(血液透析濾過を行った場合や生命に危険を及ぼす程度の重篤な出血性合併症を有する患者に対して血液透析を行った場合等を除く)の人工腎臓(外来維持透析)
【人工腎臓】<1日につき>
(現行) (改定内容)
イ 4時間未満 2,117点
一律 2,250点 ロ 4時間以上5時間未満 2,267点
ハ 5時間以上 2,397点
(入院透析やHDF<ボトル方式>はこれまで通り1,590点で出来高払い)
3.人工腎臓用特定医療材料価格(ダイアライザー等1個あたり)=回路を含む=
・T型1.5u未満 2,300円 ⇒ 1,380円
T型1.5u以上 2,070円 ⇒ 1,370円
・U型1.5u未満 1,660円 ⇒ 1,380円
U型1.5u以上 1,880円 ⇒ 1,320円
・V型1.5u未満 1,710円 ⇒ 1,570円
V型1.5u以上 2,220円 ⇒ 1,570円
・W型1.5u未満 2,240円 ⇒ 1,770円
W型1.5u以上 2,350円 ⇒ 1,800円
・X型1.5u未満 2,620円 ⇒ 1,890円
X型1.5u以上 2,660円 ⇒ 2,020円
・特定積層型 7,920円 ⇒ 6,220円
・ヘモフィルター 5,360円 ⇒ (変わらず)
・持続緩徐式血液濾過器 25, 800円 ⇒ (変わらず)
・ヘモダイアフィルター 2,790円 ⇒ (変わらず)
・吸着型血液浄化器
β2ーMG除去用 23,400円 ⇒ 22,000円
腎補助用 36,100円 ⇒ (変わらず)
<注>ダイアライザーは「β2ーMG」除去率に応じてT型からX型に分類
・T型 10%以下
・U型 10〜30%以下
・V型 30〜50%以下
・W型 50〜70%以下
・X型 70%以上
(X型は「APS−E」「PES−Sα・Sβ」のみ)
尚、「慢性維持透析患者外来医学管理料」は(検査)の点数(月2,305点)は、今回の改定では変わりませんが、包括化されている血液化学検査のうち「βーリボ蛋白」が除外されました。
それから参考までに、「慢性維持透析患者外来医学管理料(検査)」の中に含まれる即ち包括化されている各種検査項目の
一覧表(クリック)を添付しておきます。
また、慢性維持透析患者の標準的な検査項目及びその頻度は、「日本透析医学会」の「
安定期慢性維持透析の保険診療マニュアル(平成10年改訂)=PDFファイルクリック=」を参照して下さい。