Q90. 「酢酸不耐症」って何ですか。

2006/05/23 (Tue)
A.以前の透析液中には酸性の血液をアルカリ性に戻すために、酢酸が大量に含まれておりました。これは、酢酸を透析膜を通して血中に入り込ませ、体内で代謝されて生理的なアルカリ化作用(重炭酸)が発揮されることをねらったものです。しかし、酢酸の血中濃度が高くなりすぎると、嘔気・嘔吐・頭痛・血圧低下等の不快症状が発現します。これを「酢酸不耐症」と言います。
 現在の透析液では初めから重炭酸が含まれており、酢酸は以前に比べて1/4〜1/5しか含まれておりません。これは、カルシウムやマグネシウムなどの炭酸塩生成による結晶析出を防ぐため少量(8mEq/L〜12mEq/L)の酢酸が添加されているということです。しかし、少量でも酢酸は心機能抑制作用や末梢血管拡張作用を有し、透析中の血圧低下の原因のひとつと考えられています。そこで、この酢酸を完全にゼロにする研究が進められています。また、酢酸を全く含まない透析方法を「無酢酸透析(AFBあるいはAFBF)」と言います。この透析方法(オフラインHDF治療の変法)は、糖尿病や肝機能の弱い透析患者、血圧不安定な透析困難症の患者や低栄養状態にある超長期透析患者に有効であると考えられています。加えて、この治療法では、活性酸素の産生が非常に少ないことが知られています。
 尚、平成19年夏、酢酸を全く含まないいわゆる酢酸フリー透析液(剤)「カーボスター」が味の素(株)から発売されました。この「カーボスター」は、クエン酸―クエン酸ナトリウム緩衝系によって透析液の「pH」を調整してわが国で初めての酢酸不含とした製剤です。本剤は代謝性アシドーシスの優れた是正効果を有し、「血液透析患者の透析前血中HCO3濃度は22mEq/L以上に維持すべきである」とする「K/DOQI」のガイドラインに沿った透析が可能とされています。K/DOQI(National Kidnay Foundation-Kidney Disease Outcomes Quality Initiative、米国腎疾患治療のガイドライン)では、透析前の血中HCO3濃度を22mEq/L以上に維持すべきであると推奨しています。 


BACK




- Genesis -