◆ Q89. 透析で眼がわるくなることがありますか。 | |
2006/03/23 (Thu)
A.ご承知の通り「糖尿病性腎症」からの透析導入が年を逐って増加の一途を辿り、1998年以降は新規導入患者のうち導入原疾患の第1位となっているわけですが(2010年末で43.5%、透析患者全体の割合も35.8%)、糖尿病では増殖性糖尿病性網膜症と視力障害を伴うことが多く見られます。たとえ高度に進行した網膜症を持つ患者さんでも、透析導入後悪化することはまれで、透析導入後に網膜症は沈静化し視力も安定化または改善傾向を認めるとの報告が多くみられます。現に私の場合も、透析導入前に増殖性糖尿病性網膜症になり、両眼のレーザー光凝固を繰り返した後、右眼硝子体手術を行い(平成9年11月、ついでに右眼だけ白内障も手術)、その4年後の透析導入後も両眼の定期検診(視力検査・眼圧検査・眼底検査)を半年毎に地元総合病院(透析導入時入院病院)眼科にて行っていますが、特に透析導入後は両眼とも落ち着いており、さらに透析方法「HDF(オフライン)」変更に伴い、最近では手術した右眼の視力(矯正)が「0.6」⇒「0.8」⇒「1.2」と顕著な改善を経験しております。これも「HDF効果」の一つかなと認識しています。もちろん、透析導入後も網膜症の状態に応じてレーザー光凝固や硝子体手術が必要になることもありますので、その場合は眼科のドクターと連携をとり治療を進めましょう。 |