Q82.ダイアライザーの中ではなぜ透析液と血液が逆向きに流れているのですか。それと、なぜ透析液は下から上へ(血液は上から下へ)流しているのですか。

2005/10/29 (Sat)
A.ご質問のダイアライザー内の透析液と血液の流れが互いに対向する方向であることから、これを「対向流または向流(カウンターカレント)」と言います。「対向流」の方がダイアライザーの持つ透析効率であるクリアランスを無駄なく引き出すことが可能になります。(効率が上がります。) 即ち、両者の流れを逆方向にすると、ダイアライザーのどの部位でも、血流と透析液間の老廃物の濃度差を最大にできるというわけです。従ってもし、透析液と血液の流れが同じ方向に流れる「並行流または並流」にしてしまうと、「対向流」で流したときに比べ25〜30%位効率が落ちると言われています。
 それから、後半のご質問ですが、フォロファイバー型ダイアライザーが使われ始めたころ、ダイアライザーの透析液側には、次から次へと気泡が入り込み、フォロファイバーの周囲には、小さな気泡がへばり付いていました。従って、時々ダイアライザーを揺すっては、透析液の出口側に気泡を追い出す作業が必要でした。小さな気泡がへばり付いたままでは、透析液と膜面が接触する面積が減ることになり、効率が低下してしまいます。気泡は当然水より軽く水中では上に上がっていきますから、ダイアライザー内での透析液も下から上に流すことにより、気泡を抜けやすくしていたというわけです。しかしながら、最近では、目覚しい透析液供給装置の改良により、透析液が供給される時点で、透析液に溶存しているガスを抜く技術(脱気技術)が発達しているため、気泡の発生を見ることはなくなりました。従って現在では、透析液は上から下、下から上の流れのどちらでもよく、透析施設の習慣や操作上の約束により決められています。因みに、わが腎クリニックにおいてもこうしたことから、透析開始後、ダイアライザーをひっくり返して、透析液は下から上、血液は上から下に流しています。こうした透析開始後にダイアライザーをひっくり返すことを、穿刺・開始業務を行ったスタッフ以外の人間がチェックをした証(ダブルチェック)としている施設もあります。
 尚、血液を流す方向は、下から上に流した方が、即ち重力に逆らった方がダイアライザー内で均一に流れるという研究もありますが、100ml/分以上の血液流量ではどちらの方向でも問題なしとされています。


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