Q70.ニュースで「体性幹細胞で腎不全治療」とありましたが、具体的に教えて下さい。

2005/06/23 (Thu)
A.平成17年6月21日付毎日新聞夕刊によれば、東京大学等の研究チームが、腎不全のマウスに腎臓の「体性幹細胞」を移植して腎機能を正常に戻すことに成功、2005年6月20日付のアメリカの科学誌「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー」に発表しました。「ヒト」の腎臓にも同様の「体性幹細胞」があり、人工透析を受けている慢性腎不全の治療への応用が期待されますので、以下に毎日新聞から記事のポイントを引用しておきます。

◆「体性幹細胞」は体の特定の器官や臓器の基になる細胞で、東京大学等の研究チームは腎臓の「体性幹細胞」の遺伝子を特定し、「体性幹細胞」が腎臓の間質(糸球体や尿細管以外の部分)にだけ存在することを確認した。また、腎臓の「体性幹細胞」が血管や尿細管等に分化する能力を持つことも確かめている。
◆実験では、急性腎不全マウスの腎臓に、1匹あたり「体性幹細胞」1万個を移植した。腎不全マウスの「体性幹細胞」は、健常マウスに比べ約3割に減っていたが、移植した結果、7日後には血液検査等のデータがほぼ正常値に戻った。「体性幹細胞」が傷付いた腎臓の細胞を修復したためとみられる。
◆同研究チームは、「東京大病院倫理委員会」の承認を得て、腎臓摘出を受けた患者から腎臓を提供してもらい、「ヒト」にも「腎臓体性幹細胞」が存在することを確認した。
◆今後は、取り出した幹細胞の増殖法等を研究し、増殖させた「体性幹細胞」を本人の腎臓に戻すという治療法の開発を目指すという。
◆また、「体性幹細胞」に関連した腎臓の再生に働く遺伝子を対象にする薬物治療も研究していくとしている。
◆同研究チームの「菱川慶一・東京大学院助教授(腎臓再生医療)」は、『「腎臓体性幹細胞」は新たな器官を作り出す能力だけではなく、既存の器官を修復する能力もあることが明らかになった。「体性幹細胞」等を標的にした薬物治療も可能になるかもしれない。』と話している。

 <注>「体性幹細胞」とは。
様々な細胞に分化、成長する能力を持つ細胞「幹細胞」のうち、既にできあがった体の各器官で増殖、分化するものを「体性幹細胞」と呼ぶ。その器官の各種の細胞には分化できるが、他の器官の細胞にはなれない。一方、受精卵の分裂過程の胚(はい)から得られる幹細胞は「胚性幹細胞(ES細胞)」と呼ばれ、生体のあらゆる組織や臓器に分化する能力を持つ。しかし、「胚性幹細胞(ES細胞)」は受精卵を壊して作るため、研究や利用については倫理面の課題が残る。


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