Q60.透析患者にはどうして「むくみ」が起きやすいのですか。 

2004/12/14 (Tue)
A.浮腫(むくみ)の仕組みと透析患者に浮腫が起きやすい理由に分けて説明します。

《「浮腫(むくみ)」の仕組み》
人の体の水分量は、体重の約60%(体重50kgで約30L)です。そのうち、体重の40%(体重50kgで約20L)が細胞内、体重の15%(体重50kgで約7.5L)が組織間、体重の5%(体重50kgで約2.5L)が血管内に存在しています。このうち、組織間の水分量が増加した状態を「浮腫(むくみ)」と呼びます。
 「浮腫」の好発部位は目瞼(まぶた)や下腿ですが、目瞼(まぶた)に起きやすいのは、この部位の皮下組織がまばらで組織圧が低いためです。一方、下腿の場合は、重力の関係で水分が体の下側にたまりやすいためです。長期臥床中の患者については、脳梗塞の麻痺側や背中側にも出現しやすくなります。さらに増悪すると、皮下だけでなく胸水や腹水の貯留、陰嚢水腫等を合併してきます。

《透析患者に「浮腫(むくみ)」が起きやすい理由》
透析患者では無尿の場合が多く、腎臓で水分の管理ができなくなりますので、食事や飲水によって、体内の水分量が大きく変動することになります。
 透析患者に「浮腫」が出現する原因としては、大きく次の2つが挙げられます。
【1】 体内水分量が多すぎる場合
実際には、以下の@とAのバランスで決まります。
@ドライウエイト(DW)が適切でない
ご承知の通り、ドライウエイトは、透析で水分を引ききった体重のことを指しています。即ち、「浮腫」がなく、血圧が正常で、胸部X線上の心胸比(CTR)を男性で50%以下、女性で55%以下の状態に保つ体重と規定されています。
A透析日間の塩分・水分摂取量が多すぎる
塩分摂取量が多くなると、血漿浸透圧が高くなって、口渇を覚え飲水量が増えます。現実には、塩分・水分管理ついてはついなおざりにされがちですので、臨床的に問題になります。透析による塩分除去量より摂取量が多ければ、結局のところ、塩分・水分が貯留して「浮腫」が生じます。透析療法では、水の管理が重要ですが、実は塩分摂取量のコントロールがおおもとであることはこのホームページでも繰り返し説明しているところです。
【2】「血漿膠質浸透圧」の低下
「血漿膠質浸透圧」は、血液中の蛋白が組織の水分を血管内に引き寄せる力になります。血中蛋白質が低下するネフローゼ症候群や肝不全のような病気では水分を間質から血管内に引き込むことが十分できなくなります。その結果、水分が間質に貯留してしまいます。そのときに循環血液量が減少するために血液量を増加させようとして体内のホルモン(レニン・アルドステロン)が上昇して、塩分の再吸収が促進されて「浮腫」は悪化します。


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