Q59.透析患者の栄養評価はどうやるんですか。 

2004/12/14 (Tue)
A.栄養状態は、透析療法において生命予後を大きく左右する因子の一つです。まず、透析患者が栄養障害を起こす原因と対策について説明します。

《透析患者が栄養障害を起こす原因と対策》
【1】透析の量や質は十分か
維持透析患者では、尿毒症症状の十分な改善があって初めて食欲が亢進し、十分な栄養素の摂取により栄養状態が改善してきます。そのために重要なことは、透析量を最適に維持し、経時的に透析処方を見直し、質の良い透析を行うことです。十分に尿毒素を除去して「アシドーシス」を改善し、さらに「むくみ」のない体液管理を維持していきたいものです。
【2】合併症対策はできているか
特に感染症は、蛋白合成を阻害し、さらに蛋白異化を亢進させますので、感染症に対しては、その原因を究明し、的確な治療を行うことが必要です。また、全身性疾患は難治性ですが、可能な限り原疾患の治療も必要です。さらに、虚血性心疾患では十分な対外循環を維持できず、その結果抹消循環障害を起こすので、透析効率が減少して栄養障害の要因となります。その責任病変を把握して、積極的な治療の上に立った透析療法が望まれるところです。
【3】食事摂取量は低下していないか
透析膜効率が劣化や溶質の除去量の減少に伴い、食欲も低下して栄養障害を伴ってきます。

次に、栄養状態をどうやって把握するかについて説明します。
《栄養状態の把握の仕方》
【1】食事摂取量を把握しよう
実際の食事摂取量について、定期的に栄養士さんに自分の日常の食事摂取量を具体的に報告して、栄養士さんに栄養学的解析をしてもらいましょう。
【2】複数の検査値を栄養指標としよう
次の栄養関連検査値を参考にして、栄養アセスメント(栄養状態を客観的に評価すること)に役立てましょう。
 @透析前クレアチニン(Cr)値
 ACr産生速度
 B血清アルブミン(Alb)値
 C微量元素
 Dプレアルブミン(血漿蛋白の1つ)
 Eトランスフェリン(糖蛋白質)
 F免疫検査
 G血清検査(C反応性蛋白・炎症性サイトカイン・各種腫瘍マーカー)
特に、「%クレアチニン産生速度」は、筋肉の代謝量即ち筋肉量の動態を反映している指標であり、透析患者の栄養状態を表す重要な指標となります。残念ながら、わが腎クリニックにおいては、この「%クレアチニン産生速度」は算出してくれていませんが、皆さんの施設ではいかがですか。
【3】身体計測を行ってみよう
身体計測は栄養評価に欠かすことができない検査です。栄養アセスメントキットを用いた筋肉量・体脂肪量の測定や体内に微弱な電流を流してその電気抵抗から水分量を測定し細胞外液量と筋肉量を評価したりする方法もありますが、ここでは、国際的にも認められていて手軽にできる「主観的包括的栄養評価(SGA)」項目5つを次に紹介しておきましょう。
 @過去3〜6ヶ月間の体重減少
 A食事摂取量
 B消化管症状(嘔気・嘔吐・下痢)
 C機能的能力
 D身体測定(皮下脂肪/筋肉量の減少と浮腫・腹水の有無)


BACK




- Genesis -