Q58.「アシド−シス」って何ですか。 

2004/12/14 (Tue)
A.健康な人の場合、腎臓と肺の努力によって、血液の「pH」は「7.40±0.05」と非常に狭い範囲に調節されています。その昔学校で習ったように「pH7.0」が中性ですから、健康な人の血液は軽度アルカリ性に傾いていることになります。血液の場合、便宜上「pH7.4」を中性と見なし、「pH7.4」を下回った状態を「酸血症(アシデミア)」、「pH7.4」上回った状態を「アルカリ血症」(アルカレミア)」と呼びます。ご質問の「アシドーシス」とは、前者の酸性に傾く病態のことを言います。反対に、アルカリに傾く病態を「アルカローシス」と言います。
  やや難しくなりますが、「アシドーシス」「アルカローシス」は、それぞれ「代謝性(腎による調節)」と「呼吸性(肺による調節)」の2つに分かれます。例えば、体内に「酸(H+:水素イオン)」が過剰に蓄積し、「アルカリ(HCO3ー:重炭酸イオン)」濃度が低下する動きが「代謝性アシドーシス(即ち酸排泄障害のため)」で、「炭酸ガス(PCO2)」が増加する動きが「呼吸性アシドーシス」です。即ち、血液の「pH」は、主に腎臓で産生される「HCO3ー」と肺の呼吸機能で調節される「PCO2」によって決まるのです。
 但し、「アシドーシス」があってもそれが必ずしも「酸血症(アシデミア)」になるとは限りません。「アシドーシス」と同時に「アルカローシス」をきたすような病態の合併があったり、「pH」の変化をなるべく少なくしようとする生体防御反応(代謝性変化)が働くからです。例えば、「代謝性アシドーシス」が存在すると、呼吸性代償(過換気によって肺から二酸化炭素<CO2>を排泄させ、血液を中性の方向へ戻す)が働きます。
 慢性腎不全のときに「アシドーシス」になりますが、これはなぜでしょうか。繰り返しになりますが、血液の「pH」の調節は主に腎臓と肺で行われており、腎臓は「酸(H+)」を排泄して、「アルカリ(HCO3ー)」を産生しています。腎臓の働きが低下しますと、異化の過程で必然的に発生する「硫酸(H2SO4)」や「リン酸(H3PO4)」等の不揮発性の強酸を処理する能力が衰えるために、「代謝性アシドーシス」をきたすようになります。
 腎臓から排泄される「酸(H+)」は、生体にとって有害で、慢性腎不全患者で「アシドーシス」が進行すると、まず全身倦怠や食欲不振等の消化器症状が出現してきます。重篤な場合(ショック状態・高K血症)には生命の危険を生じますので、保存期から定期的に「血液ガス」を検査する必要があります。「動脈血ガス」が望ましいのですが、採血が少し面倒なので、「代謝性アシドーシス」のチェックだけなら「静脈血ガス」でも代用がききます。
 次に、「動脈血ガス」「静脈血ガス」の検査値の違いを表に示しておきます。 <それぞれの数値は正常範囲>
        (pH)  (PCO2) (HCO3ー)
 ・動脈血ガス 7.37〜7.43   36〜44mmHg  22〜26mEq/L
 ・静脈血ガス 7.32〜7.38   42〜50mmHg  23〜27mEq/L
 「HCO3ー」が「18mEq/L」以下である「代謝性アシドーシス」が存在するときには、重曹等で補正する必要があります。通常は、透析液の中に重曹が入っていますので、透析導入後は「代謝性アシドーシス」は補正されますが、透析不足の場合は透析前に顕著な「代謝性アシドーシス」を示していることがあり、このような場合はやはり定期的な検査が必要になります。
 私の場合は、保存期を含め「血液ガス」の検査は行ったことはありませんが、今現在は完全な透析不足の状況にはありませんので、まず大丈夫かなと思っています。


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