Q54.透析開始後も透析中もさしたる血圧低下(最低上が120mmHg位)がないのに、透析終了後立ちくらみがしてなかなか帰宅できません。今後どうしたらいいんでしょうか。

2004/10/05 (Tue)
A.このような場合は、「起立性低血圧」である可能性が最も高いです。頭部と足部の血圧差は、水平臥床には極めて小さく無視できますが、立位では重力の影響で両者の差異は100mmHgを超えるほどに広がります。
 正常者では臥位から立位へ移行すると、反射性の下肢血管収縮により血液の下半身へのプーリングが防止され、脳循環が傷害されないように調整されていますが、透析患者の多く(特に基礎疾患が糖尿病の場合)では、自律神経の異常が認められ、静脈容量の減少・心筋収縮性の増加・血管抵抗性の上昇等の代償反応が傷害されて起きにくくなっており、これらのために、立ち上がったときに低血圧を招来し、これに伴いめまい・耳鳴り等の症状が出現することになります。
 このような場合、普段からの「起立性低血圧」対策としては、透析終了後、臥床→起座→起立への体位交換や体動をできるだけゆっくりと行うことがまずは肝要です。その他具体的対策としては、
 @透析液の低温化(例えば35.5℃とか)
 A「ドプス(立ちくらみや、すくみ足を改善する薬)」「リズミック(血圧
  上昇作用を持続させる薬)」または「カルグート(選択的β1刺激薬)<心
  臓の収縮力を強める薬>」の透析前服用
 B昇圧薬(「ノルエピネフリン」「ドパミン」「ドブタミン」等)の持続的
  投与
 C交感神経抑制を主体とする降圧薬(α遮断薬)の中止
等があります。
 「起立性低血圧」を起こしやすい透析患者は以上の原因と対策をよく自覚・理解しておきましょう。
 尚、上記「起立性低血圧」対策としての透析終了後の「臥床→起座→起立」への体位交換や体動について、いわば「起き上がり方法」を次に記しておきます。
 @ベッドで臥位(必要時弾性ストッキング着用有効)
  足を軽く上下させる
  ↓
 Aベッドの頭の方を上げての座位(15分以上)
  足首の屈伸
  ↓
 Bベッドに腰掛けて(床に足をつける)の座位(15分以上)
  軽く足踏み
  ↓
 C立位


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