Q53.透析患者と民間療法について、基本的考え方を教えて下さい。

2004/10/05 (Tue)
A. かつて、民間療法で便秘予防薬として、“にがり”を飲むことが流行したことがありますが、この“にがり”の正体はマグネシウムですので、透析患者をはじめ腎不全患者は絶対に使用してはならず、高マグネシウム血症は意識の喪失、やがて死に至ることを肝に銘じておくべきです。
“にがり”に限らず、親切からの例えば隣のおばさんとか、親戚のおじさんからの民間療法には危険が常にあり、どれにしても透析患者は手を出さない方が無難です。
 具体的には、高カリウム(K)血症を招く「青菜汁療法」や高カルシウム血症をまねく「ゴマ療法」等はもってのほかです。
 特に「ケール(青汁)」は非常に危険です。透析患者の場合、カリウム(K)の摂取量は1日2,000mgと推奨されていますが(因みにバナナ1本でK約390mg、米飯1杯ではK約43mg)、腎不全患者がケール100%の青汁の1日推奨量を摂取するとKが1,500mg含まれているため、致死性の高K血症を起こす危険性があります。間違っても、ケールは飲まないようにしましょう。血清Kが5.5mg以上ある状態を高K血症と言い、症状には「脈の乱れ」「心電図T波の上昇」「血圧降下」「虚脱」「蒼白」等があります。
 また、健康食品と称するものの中にはカリウム、リン、マグネシウム、カルシウム、鉄分、ホルモンバランスを崩してしまう成分等、透析患者にとって危険なものも少なくありません。またビタミン類についても過剰摂取は様々な障害を起こします。従って、どうしても健康食品を利用したい場合は事前に必ず、主治医の先生や栄養士さんに相談して下さい。
 尚、平成18年2月13日のマスコミ報道によれば、同日厚生労働省が、キノコの一種「アガリクス」を含む健康食品で発がん作用が促進されるとの動物実験の結果が出たとして、「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」を販売する「キリンウェルフーズ社(東京都)」に対し、自主的な販売停止と回収を要請したとのことです。当時のキ社の野中淳一社長は、同日会見して謝罪し、すべてのアガリクス製品の販売中止と回収を表明しました。
 学術雑誌に「アガリクス」で肝障害を疑う例などが掲載されたため、「国立医薬品食品衛生研究所」が広く流通している3社の3製品を抽出して調査、キ社の製品について、製品自体に発がん性はないものの、ラットを使った実験で発がん作用を助長する結果が出たということです。厚労省によると、調査対象となった3製品のうち、キ社以外の2製品はその段階では問題は見つかっていないとしています。
 <参考>「アガリクス」とは。
「アガリクス」はブラジル原産。ごく限られた気象条件のもとでしか自生していなかったため「幻のキノコ」とも呼ばれていたカワリハラタケ科坦子菌類のキノコです。


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