Q50.ダイアライザーの透析膜の面積や材質等はどのように決められるのでしょうか。

2004/09/28 (Tue)
A.ダイアライザーの透析膜の選び方の留意点として、大きく分けて 次の3点が挙げられます。

《@膜面積について》
一般的に、血液透析導入時は小さな膜面積のダイアライザーを選択し、血液透析に慣れてくれば、体格に応じて徐々に膜面積の大きなダイアライザーに変更します。また、小児や高齢の患者は年齢や体重に応じて、糖尿病等心血管系合併症を持っている患者についても小さな膜面積のダイアライザーを使用します。そして体格が同じでも、患者の運動量によって、あまり運動をしない人と比較的よく運動をする人では膜面積が変わってきます。
 因みに、私の場合導入時は1.6u、その後慣れてくるに従い、あるいはドライウエイトアップに伴い、1.7u、1.8u、2.0u(現在)と徐々に膜面積が大きくなっています。

《A膜性能について》
標準的な膜は、小分子量毒素(BUNやクレアチニン)の除去に適し、合併症のない患者に使用します。一方、ハイフラックス膜やハイパーフォーマンス膜(「HPM」)と呼ばれる高性能膜は、中分子から低分子量蛋白領域(β2ーMG等)までの除去に適し、また除水能(水を引く力)も高いので、体重増加の多い患者や合併症のある患者に使用します。しかし、高性能膜は有用蛋白(アルブミン)も若干抜けてしまいますので、食事摂取状態や年齢を考慮して慎重に選択しなければなりません。
 尚、「かゆみ」「イライラ感」「下肢をじっとしていられない」などの訴えがあるとき、「HPM」の大孔径膜ダイアライザーに変更する場合があります。上記のアルブミンは血液中の小分子の悪者たち(タンパク結合型尿毒素)をくっつけて悪さをさせないように保護してくれています。アルブミンが漏れる膜を使うとタンパク結合した毒素も除去されます。つまり、アルブミンは、血液中の毒素をくっつける「掃除屋」さんの働きがあります。
 因みに私は、オフラインHDF専用のへモダイアフィルターを使用しています。

《B膜素材(減菌方法も含む)について》
大きく分けてセルロース系膜と合成高分子系膜に分けられます。セルロース系膜は物理的作用として、「限外濾過」や「拡散」の作用で、尿毒症毒素を除去し、合成高分子系膜はそれらに加え吸着作用も含め尿毒症毒素を除去します。どの膜素材を使用するにせよ、血液と透析膜が接触することにより、様々な反応が生じてきます。例えば、透析後に発熱が続いたり、かゆみなどのアレルギー症状が出現した場合には、ダイアライザーが原因となっている可能性もありますので、膜素材の異なったダイアライザーに変更することが必要な場合もあります。
 尚、抗血栓性(ダイアライザーの残血対応)においては、「エチレンビニルアルコール(EVAL膜)」や「セルローストリアセテート(CTA膜)」が優れています。これらの膜は、生体適合性に優れており、生体の補体活性、血小板、凝固系等への影響も少ないとされています。
 因みに、現在私の使用している膜素材は、一番ポピュラーなポリスルホン(PS)という合成高分子系膜です。
 このPS膜を含めた合成高分子系膜の特徴を簡単に次に整理しておきます。
・PS=幅広い溶質除去性能を持つ。
・PMMA=β2ーMG吸着除去に優れる。
・EVAL=血小板、凝固系への影響が少ない。
・PAN=非常に薄い、溶質除去性能に優れる。陰性荷電強い(特にAN69)。このAN69膜をACE阻害薬を服用中の患者に使用すると、アナフィラキシーを起こす可能性がある。(AN69の強い陰性荷電とACETによってブラジキニンが増加するのがその一因と推測されている。)
・PA=蛋白吸着が少ない、性能の経時劣化が少ない。

<参考@>透析膜の詳細サイト(「透析百科」<12.透析膜>アドレス)
http://202.216.128.227/
<参考A>
現在市販されているダイアライザー一覧およびヘモダイアフィルタ性能評価表がインターネットに公開されていますので、次のURLをクリックしてご覧ください。
http://www.jyouka.com/pdf/dialyzer_catalog.pdf

 以上3点を留意して、各患者の病態を把握し、ドクター・看護師・臨床工学技士のスタッフがそのときの患者の状態に最も適したダイアライザーを選択してくれているはずです。
 自分のダイアライザーの変更や選択に関して疑問を感じたら、遠慮せずに透析スタッフに質問・問題提起を積極的にしましょう。また、そのためにも自分の血液透析に使うダイアライザーがどのようなものか、日頃から把握しておきましょう。

 次にダイアライザーの膜面積とドライウエイトと血液流量との関係を次に載せておきます。(あくまで目安です。)
(ドライウエイト)(膜面積) (血液流量)
70Kg以上   2.1u以上 300ml/分
60〜70Kg  1.8 〜2.1u 250ml/分
55〜60Kg  1.5 〜1.8u 250ml/分
50〜55Kg  1.2 〜1.5u 200ml/分
40〜50Kg  1.0〜1.2u 200ml/分
40Kg未満   0.8〜1.0u 150ml/分
(因みに、私の今の状況は、上から1番目に最も近いです。)

 尚、ダイアライザーの膜面積と血液流量の方程式的な目安も次に紹介しておきましょう。
 @ダイアライザーの膜面積
  0.025u/Kg(ドライウエイト<DW>)
 A血液流量(1回4時間治療でKt/V=1.4達成するには)
  4〜5ml/Kg(ドライウエイト<DW>)
  <DW60Kgの場合>
  4〜5ml×60=240〜300ml/分


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