Q47.リンコントロールの基本を教えて下さい。

2004/07/03 (Sat)
A.リンコントロールの基本は、過剰な蛋白質摂取を慎むことが第一の方法であり、次に食品選択、薬物療法(Q39.A参照)との兼ね合いを考慮することです。
 リンをコントロールするためのステップを次に紹介しておきましょう。
 ●ステップ1<基本>
  ・蛋白質摂取量を適正に(0.9〜1.2g/kg)/day)
   =食べ過ぎに注意=
   尚、蛋白質1gのリン含有量は12〜16mg、さらに大雑把に蛋白質
   10gのリン含有量は130mg程度
  ・リン吸着剤の服用を忘れずに(食事中、ないし「塩酸セベラマー」は食直
   前、「炭酸ランタン」は食直後に服用)
 ●ステップ2<基本の次に注意すること>
  ・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ等)を摂り過ぎない
  ・レバー、卵類(鶏卵・いくら等)を摂り過ぎない
 尚、血清リン値の目安を参考までに次に載せておきます。
 《血清リン値の目安》
 @5.0mg/dl以上・・・・・・・注意(高P血症)
 A2.5〜5.0mg/dl未満・・・良好
 B2.5mg/dl以下・・・・・・・注意(低P血症)
 最後に、上記リンコントロールの基本をベースに、改めて以下の注意すべき点をしつこいようですが、載せておきます。(チェックポイント)
・無尿の透析患者の場合、リン除去は血液透析1回当たり通常1,000mgの透析液への排泄と約400mg/日の便中への排泄により行われることを認識しているか。
・一般にたんぱく質10gを摂取するとリンの摂取量は130mgになることを認識しているか。
・1日のリン摂取量(800mg以下)を認識しているか。因みに、健常人が食べる一般的な食事には、1日あたり1000〜1200mgのリンが含まれています。
・リン吸着剤は、量が少なくないか。食直前もしくは食事中に服用しているか。
・透析中に食事をする場合でも、リン吸着剤を忘れずに服用しているか。(特にリンが高い場合)
・リンを多く含む食品(乳製品、かまぼこ等の加工食品、小麦粉を使ったパンやお菓子等)を多く摂取していないか。=かまぼこ、さつま揚げ、ハム等の加工食品は、製造過程で、粘り気を出すためにリンを加えていることが多いのです。ハム等の成分表示をみると、「リン酸塩」と書かれていることに皆さんもお気づきかも知れません。同じたんぱく質を摂取するのでも、加工食品を食べてしまうと、リンが多くなってしまいます。=
・外食は多くないか。
・血清リン値は、定期的(毎週週初めの透析前とか)に測定されているか。
・副甲状腺ホルモン(PTH)のデータと併せ、活性型ビタミンD製剤の種類と量は問題ないか。(経口薬と静注薬ともCaだけでなくリンも高くしてしまうので、基本的に血清リン数値5.5mg/dl以下に維持されているときにのみ活性型ビタミンD製剤は使用可能です。従って、活性型ビタミンD製剤経口薬を服用している場合は、実際にリンが吸収される場所である空腸や回腸等を食物が通過した後など、夜遅く空腹時に服用するのが最も効果的との意見もあります。)
<活性型ビタミンD製剤の詳細は左ボタンコンテンツ「その他インフォメーション」【19】参照>
・透析効率(kt/V等)を見直し、透析時間延長・血液流量アップ・ダイアライザーの変更等を検討したか。(リンを抜くために充分な透析量を確保することも大変大事なことです。)=リン除去の観点からも、自分の身体がついてこられる限り、透析時間の延長や血液流量のアップ等の透析効率を追及し、透析量を上げよう=
・高リン血症が今後、どのような合併症を引き起こすかの認識をしているか。(骨病変、皮膚掻痒症、血管石灰化、副甲状腺機能亢進症等)
・副甲状腺機能亢進症に伴い副甲状腺ホルモン(PTH)が高いままですと、骨からカルシウムだけでなく、リンも溶け出して、血清リン数値も高くなってきます。内科的治療(活性型ビタミン製剤による治療等)に抵抗する「高PTH血症(インタクト-PTH>500pg/ml)が持続し、「高Ca血症(補正Ca>10.0mg/dl)」、または「高P血症(P>6.0mg/dl)」が存在する場合は、副甲状腺インターベンション(副甲状腺摘出術<PTX>または経皮的エタノール注入療法<PEIT>)が考慮されます。
【追記】=「低リン血症」=
血清リン値が高いということとは逆に血清リン値が低いということは、全身状態が悪く十分な食事が摂れていないということがまず第一に考えれます。短期間の軽度ないし中度の低リン血症であるなら、症状を来たすことはありませんが、それが長時間持続すると、骨の石灰化が障害され骨痛を生じたり歩行困難となります。
 血清リン値で1.0mg/dl未満となるような高度の低リン血症では、細胞のエネルギー源である「ATP」という物質が減少します。また、「2,3−DPG」という物質が減るために酸素がヘモグロビンから離れにくくなり、組織への酸素供給量が減って低酸素症を来します。白血球の働きが悪くなり、感染に対して抵抗力が落ちることになります。赤血球は変型能が低下して溶血しやすくなります。神経や心筋、骨格筋も障害されます。

<参考>たべるならどっち?(リン含有量)
【1】主食
 ・うどん(ゆで)1玉200g⇒36mg
 ・そば(ゆで) 1玉180g⇒144mg
 ・蒸し中華めん 1玉180g⇒180mg
【2】乳製品
 ・クリームチーズ1切れ20g⇒17mg
 ・牛乳     1本200ml⇒186mg
【3】魚
 ・ぶり     1切れ80g⇒104mg
 ・まぐろ    1切れ80g⇒216mg


BACK




- Genesis -