Q4.普段血圧が高いのに何故透析中には低血圧になってしまうのですか。

2004/05/10 (Mon)
A.普段の血圧に関係なく、透析中の血圧低下を経験している人は多いと思いますが、ドライウエイトよりも増えた量、換言すれば余分な量しか除水していないのに、何故血圧が下がるのでしょうか。
 血液中に貯めておける水分量というのは決まっています。それを超える水分量については、血液から細胞の方へ水分が移動し、細胞内に水分が貯まります。細胞内に水分が貯まった状態を「浮腫」簡単に言えば「むくみ」となります。この細胞内に貯まった水分は、除水によって血液中の水分が減ったからといって簡単に血管内に戻ってくるものではありません。人によって時間に差はありますが、ゆっくりと細胞から水がしみ出てくるというイメージです。
 このように、細胞内⇒間質⇒毛細血管方向への水分の移動を専門用語でプラズマ・リフィリング(一番下に関連説明<注>あり)と呼びます。このしみ出てくる速度よりも除水速度の方が早い場合に水分を含めたトータルとしての血液量(循環血液量<BV>)が減少し血圧低下となるのです。水分を摂り過ぎると透析中の血圧がより下がりやすくなるのは、こうした理由によるものです。水分摂取による体重の増加をできるだけ少なくしましょう。
 また、筋肉量が少なくなると、ますます透析中に血圧が下がりやすくなり、除水が困難になります。筋肉には血管と血液が豊富であり、その重量のおよそ70%が水分で占められています。血管外の水分は主に筋肉内にプールされ、透析患者では特に透析間に貯留した水分はこの筋肉内に貯留します。透析中には、筋肉内の水分は皮下組織の水分よりも血管内に容易にかえっていき、透析で除去されやすいのです。筋肉が減少すると血管外の水分は皮下組織に浸透していき、透析中の血管内へのかえりが遅れ、血圧低下の原因になります。
 透析中にみられる低血圧の原因は、以上のような除水による循環血液量の減少等に加え、それに対する心血管系の代償反応の不良、さらにはdialysis reactionと言われる血液がダイアライザーや血液回路を流れるために起こる反応等透析治療に直接関連したものがあります。これらの他透析中にみられる低血圧の原因には、不整脈や心筋梗塞、心筋虚血、消化管出血や敗血症によるショック等透析治療とは直接関連しない原因もありますので、原因をよく見極めて適切な対策を講じる必要があります。(透析中の低血圧対策は「私の透析日の1日」のコーナー参照)

<注・参考>プラズマ・リフィリング・レート
プラズマ・リフィリングの速度をプラズマ・リフィリング・レートと言います。透析中にヘマトクリット(Ht)を測定する道具を使ってプラズマ・リフィリング・レートを測定している論文を参照すると、どれも5〜10ml/分程度のようです。1時間あたりでは300〜600ml位です。体重(DW)が35〜50Kg程度の患者を対象にしているようですので、もっと大きく元気な患者ではより大きな数値になることでしょう。


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