Q22.透析をはじめて8年になります。夜になると足の置き場がないほどイライラ して静かにじっとできなくなり、眠れないことがあります。原因と対策を教えて下さい。

2004/05/10 (Mon)
A.イライラ症状には、下肢に現れる「下肢静止不能症候群(「RLS<restless legs syndrome>」)と全身に現れる場合とがありますので、二つに分けて説明します。
【1】下肢静止不能症候群(「RLS」)
日中よりも多くは夜間にベッドに入って眠ろうとするときに発症します。イライラしてじっとしていられず、足の置き場がない感じで、足を動かし続ける抵抗しがたい欲求をもち、眠ろうとしても眠れない状態を呈するものであり、生命に関わるものではないのですが、その人にとってはかなり辛いものです。
 この「下肢静止不能症候群」の診断は、透析中に下肢をベッド上で断絶的に動かしているのを認めることができれば簡単ですが、他覚的所見で発見されることは少なく、自覚症状から判定されることが多いです。その原因は、現在でも明確には解明されていませんが、抗てんかん薬の「クロナゼパム」が有効であることから、多分に中枢性の何らかの機能異常が起こっているためと想定されています。
 従って、その治療には、「クロナゼパム」がよく効きますし、パーキンソン症候群に使用する「ドーパミン」の併用も有効です。
このような効能から考えても、「下肢静止不能症候群(「RLS」)」の原因は抹消神経症とは考えにくいものです。
 また、透析時間・血流量・透析頻度を上げることやダイアライザーの種類を変えたり、「HD」から「HDF」や「CAPD」に透析方法を変えることで、症状が軽快あるいは消失することから、透析効率や透析方法と発症の関係は深いと考えられています。
【2】全身のイライラ症状
昼夜に関係なく、身体全体がイライラしてじっとしていられず、静かに横になって本を読んだり、テレビを観たりすることに集中できない症状です。この症状が発症した場合には、4〜5時間の透析治療中もベッドでじっとしていられない状態となります。
 これがもっと重症化すると、一晩中徘徊したり、焦燥感が亢進して不穏・錯乱状態に発展する場合もあります。
 この場合のイライラ症状は、「下肢静止不能症候群(「RLS」)」とは別のものです。この症状は、透析療法の初期にはしばしば発症が見られましたが、最近では全くと言ってよいほどに見られなくなりました。結局のところ、内科医では対応困難なため精神科医の応援を求め、強力な精神安定化薬の治療を必要としたわけです。これまで見たり聞いたりしたこともない"機械によって生命を維持する治療"に自分自身が直面し、平衡心を失った状態であった思われます。今では、精神科的には情緒障害の一つの表現型とされています。


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