検査項目

β―マイクログロブリン(m/

略  語

β−MG−S

基準値

0.7〜2.0

解  説

β2ーマイクログロブリンは、慢性腎不全・急性腎不全・糸球体障害や血液疾患・悪性腫瘍・感染症・膠原病等で上昇します。透析患者の場合、手根管症候群等透析アミロイドーシスの原因となるたんぱく質です。β2ーマイクログロブリンは、全身の細胞で作られ、ほぼ100%糸球体で濾過されます。そして、その99.9%は尿細管で再吸収代謝されます。つまり腎臓が正常であれば血中のβ2ーマイクログロブリン濃度も一定に保たれるのですが、腎不全になるとβ2ーマイクログロブリンが体内にだんだんと溜まってきます。ただし、これだけではアミロイドーシスにはなりません。何らかの原因にによってβ2ーマイクログロブリンが変質して、はじめてアミロイド化するのです。即ち、β2ーマイクログロブリンが変質すると脱アミド化という反応を起こし、やがて重合化してアミロイドになっていくと考えられています。そして、長い年月のうちにアミロイド化したβ2ーマイクログロブリンがAGE化(AGE=蛋白質を糖質とともに保温するとメイラード反応と呼ばれる化学反応が起こる結果生じる物質の総称のこと)すると、マクロファージ(大食細胞)を呼び寄せ、種々のサイトカイン(免疫、炎症に関係があり、細胞から分泌される蛋白質)を放出させて骨や関節に悪影響を及ぼしはじめるというわけです。β2ーマイクログロブリンの様々な除去方法が試みられていますが、完全なものではありません。
透析患者の場合、「20以下」が望ましい数値です。(透析前)
尚、透析液のエンドトキシン濃度が高い場合で、特にハイパーフォーマンス膜を使用している場合には、透析液側から血液側へエンドトキシンが移行し、その結果、β2ーマイクログロブリンが上昇すると報告されています。
それから、肝炎等の慢性的な炎症でもβ2ーマイクログロブリンは上昇しますし、風邪程度の急性炎症でも一時的に上昇します

 

検査項目

フェリチン(ng/ml)

略  語

Feri

基準値

男性17〜292・女性6〜167

解  説

フェリチンは、貯蔵鉄の量を表す数値で、鉄欠乏症や鉄過剰の判定に用います。血清鉄(Fe)が正常であってもフェリチン値が低い場合は潜在的鉄欠乏状態(「8」以下は絶対的鉄欠乏)と言えます。また、生体内の貯蔵鉄とは関係なく、各種の癌で高数値になります。
(悪性腫瘍等の腫瘍マーカー)
透析患者の場合、「100〜200」を目標にします。(透析前)
尚、貧血剤「ESA製剤」使用時は、この「フェリチン」を100ng/ml以上に維持すると造血効果が上がります。
但し、日本透析医学会が貧血治療のガイドラインで鉄欠乏の指標として、フェリチン100ng/ml未満としたのは誤りであり、フェリチン60ng/ml未満、鉄飽和率(TSAT)20%以上の群がHbが最も高く、フェリチン60ng/ml未満が適切であるとしたこの意見が少しずつ浸透してきたとも言われています。

 

検査項目

HBs−Ag(CLIA)(IU/ml)

略  語

HBS−Ag

基準値

0.05未満

解  説

HBs−Ag(CLIA)は、B型肝炎ウイルス(HBV)の抗原のことで、B型肝炎感染の有無を調べます。

 

検査項目

HCV(CLIA)(S/CO)

略  語

HCVーAb

基準値

1.00未満

解  説

HCV(CLIA)は、C型肝炎ウイルス(HCV)の抗原のことで、C型肝炎感染の有無を調べます。

 

検査項目

梅毒脂質抗体

略  語

RPR

基準値

(―)

解  説

RPRは、梅毒感染の有無を調べます。これが(−)であれば梅毒に感染していないことが判ります。

 

検査項目

梅毒TP抗体

略  語

TPHA

基準値

(―)

解  説

TPHAは、梅毒の血清反応による検査で、これが(−)であれば梅毒に感染していないことが判ります。

 

検査項目

白血球(100/μl)

略  語

WBC

基準値

40〜90

解  説

白血球は、好中球・好酸球・好酸球・リンパ球・単球の総称で、身体を防御してくれる働きががあり、各感染症・血液疾患(白血病等)・癌・アレルギー疾患等でこの数値が高くなります。
尚、一般的にウイルス感染の場合に白血球は低くなり、シャント感染、腹膜透析におけるトンネル感染等の細菌感染の場合には高くなるようです。
それとここで、まとめて透析患者の目標値(基準値)を次に掲げておきます。

  ・白血球  30〜80100/μl 
  ・好塩基球 0〜2%
  ・好酸球  1〜6%
  ・好中球  50〜75%
  ・リンパ球 10〜40%
  ・単球   2〜8% 
 尚、白血球数の危険あるいはすぐに対応しなければ病的異常と判断する限界値は、下限値としては「2000/μl」、上限値としては「12000/μl」程度と思われます。こうした透析患者にみられる白血球数異常の原因について改めて次に掲げておきます。
     (白血球数減少)        (白血球数増加)  
   @尿毒症               @感染症(細菌・真菌等)
   A薬剤性骨髄抑制         A慢性炎症(アミロイド関節炎等)
   B感染症(ウイルス・重症感染) B膠原病(関節リウマチ等)
   C低栄養状態            C悪性腫瘍
   D肝硬変               D白血病
   E骨髄異形成症候群        Eアレルギー性疾患
   F再生不良性貧血         F急性血栓症(心筋梗塞等)
   G悪性貧血             G喫煙
                        Hストレス
 最後に、白血球数に影響を及ぼす薬剤を次に載せておきます。
    (白血球数減少を起こす薬剤)      
   @H2ブロッカー(胃炎や胃潰瘍の治療薬)     
   A抗生物質        
   B非ステロイド系消炎鎮痛薬
   C降圧薬         
   D免疫抑制薬            
   E抗腫瘍薬              
    (白血球数増加を起こす薬剤)               
   @ステロイド剤 

 

検査項目

赤血球(10000/μl)

略  語

RBC

基準値

男性430〜570・女性390〜520

解  説

赤血球は、細胞内に含まれるヘモグロビンによって肺で受け取った酸素を体内に供給し、体内で発生した炭酸ガスを肺で放出するガス交換を行っています。貧血をみるとき検査します。この数値が低いと貧血が疑われます。骨髄による造血機能を反映します。
透析患者の目標値は、透析前数値で「330〜390」です。

 

検査項目

血色素量/dl

略  語

Hb

基準値

男性13.0〜17.0・女性11.5〜15.5

解  説

血色素量は、赤血球内に含まれる血色素(ヘモグロビン)の量のことを言います。この数値が低いと貧血が疑われます。
透析患者の目標値は、透析前数値で「10.0〜11.0」です。動脈硬化性病変が少なく活動性の高い比較的若年透析患者の目標値は、透析前数値で「11.0〜12.0」です。
尚、血色素量(Hb)とヘマトクリット(Ht)との関係は、Hb1g/dlが概ねHt3%です。



検査項目

ヘマトクリット(%)

略  語

Ht

基準値

男性38.0〜50.0・女性34.0〜45.0

解  説

ヘマトクリットは、全血液中の赤血球の占める容積比率のことです。貧血があるかないかチェックする数値です。
健康な腎臓では、エリスロポエチンという造血ホルモンが作られますが、腎不全になるとこの造血ホルモンが減り、貧血になります。
他に貧血をチェックする数値としてヘモグロビン(Hb)、赤血球(RBC)等がありますが、このヘマトクリットが一番良く使われます。
透析患者の目標値は、透析前数値で「30.0〜33.0」です。動脈硬化性病変が少なく活動性の高い比較的若年透析患者の目標値は、透析前数値で「33.0〜36.0」です。
但し、ヘマトクリットが上がりすぎると(40を大きく超えて45とか50とか)、血液の流れが悪くなり、血液の粘稠度が増していわゆる「ドロドロ血液」になります。また、ヘマトクリットが高くなると、透析効率、つまり透析での毒素の除去が悪くなります。即ち、同じ時間透析でダイアライザーも同じ、血流が同じでも、ヘマトが高い人は毒素の除去が悪くなります。さらに、高血圧が強くなったり、カリウムが高くなったり、またシャントが閉塞したりすることがありますので、注意が必要です。
尚、ヘマトクリット値は、採血から測定までの間に様々な要因で変動することから、欧米のガイドラインではヘモグロビン(Hb)値で表現すべきことが強調されています。ヘマトクリット値が以下の通り採血条件によって大きく異なることを認識しておく必要があります。

<採血日>
 わが国では通常週はじめの透析開始前の採血が大部分ですが、欧米では週中日(月水金では水曜)のデータが用いられています。しかし、一般に週はじめの体重増加量は中日より大であり、希釈により過小評価されています。
 因みに、某施設では週中日のヘマトクリット値は、週はじめに比べ平均0.57ポイント高値であったことが報告されています。
<体位>
 ヘマトクリット値は採血時の体位によっても変動します。即ち、透析前の座位に比べ臥位後10分のヘマトクリット値は平均2ポイントも低下し、また臥位後も30分以上ヘマトクリット値が低下し続けることも知られています。
 これは、臥床すると循環血液量が増加し、血液が希釈されるためと考えられています。
<透析前後>
 除水により血液が濃縮されるため、透析後にはヘマトクリット値は一般に上昇します。(除水の少ない場合は体位の影響が勝って低下するときもあります。)
 即ち、ヘマトクリット値の透析前値と上昇%は相関し、除水率とも相関します。
 ヘマトクリット値に関する議論はすべて透析前値で論じられていますが、本来ドライウエイト(透析後)でのヘマトクリット値を論じるべきとも考えられ、除水量の多い患者では透析後値も測定すべきです。

 

検査項目

MCV(fl)

基準値

83.0〜97.0

解  説

MCVは、MCH・MCHCと同じ赤血球恒数と呼ばれているもので、赤血球1個1個の大きさを示しています。
赤血球(RBC)、ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロビン(Hb)、の3つの数値の関係から、貧血の種類(原因)を知ることができます。この関係を表す数値の一つがMCVです。
このMCVが低いと鉄欠乏性貧血、高いとビタミンB12・葉酸欠乏等が考えられます。
 MCVは、次の計算式で算出されます。
 MCV=Ht(%)÷RBC(万/μl)×10の3乗
 大雑把に言いますと、日本人のMCVの平均は「90」です。「100以上」を大球性貧血(ビタミンB12か葉酸の欠乏)「80以下」を小球性貧血(鉄・フェリチン欠乏)とここではしておきます。この中の「90」という数字は貧血を考えるときの基本の数字になりますので、記憶しておきましょう。そして、「90±10」までを許容範囲と覚えておきましょう。尚、腎性貧血(貧血ではない正常の場合も同じ関係が成立)は一般に正球性貧血であることが特徴です。

 

検査項目

MCH(pg)

基準値

28.0〜34.0

解  説

MCHは、MCV・MCHCと同じ赤血球恒数と呼ばれているものです。
赤血球(RBC)、ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロビン(Hb)、の3つの数値の関係から、貧血の種類(原因)を知ることができます。この関係を表す数値の一つがMCHです。MCHは、赤血球に含まれているヘモグロビンの平均値を示します。
 MCHは、次の計算式で算出されます。
 MCH=Hb(g/dl)÷RBC(万/μl)×10の3乗
 許容範囲は、「30±3」です。

 

検査項目

MCHC(%)

基準値

32.0〜36.0

解  説

MCHCは、MCV・MCHと同じ赤血球恒数と呼ばれているものです。
赤血球(RBC)、ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロビン(Hb)、の3つの数値の関係から、貧血の種類(原因)を知ることができます。この関係を表す数値の一つがMCHCです。MCHCは、赤血球に含まれているヘモグロビンの濃度を示します。
 MCHCは、次の計算式で算出されます。
 MCHC=Hb(g/dl)÷Ht(%)×10の2乗
 許容範囲は、「33±3」です。
この値が基準値以内であれば正色素性、基準値より低ければ低色素性、基準値より高ければ高色素性と表現されます。
尚、この「MCHC(赤血球ヘモグロビン濃度)」が基準値を下廻ってきた場合には「慢性出血(胃潰瘍・胃癌・大腸癌等からの出血、月経過多等)」も考えられます。

 

検査項目

血小板(10000/μl)

略  語

PLT

基準値

14〜34

解  説

血小板は、血液を固めて自然に出血を止める働きがあります。
血小板が少なくなると、小さな傷や採血等で血が止まらなくなったり、外から見えない体の中で自然に出血を起こしてしまうこともあります。
透析患者の血小板は、腎不全それ自体が原因で血小板数の異常をきたすことは少ないため、血小板数は健常者と同等に考えますが、日本における統計上では透析前の血小板数が15〜20の患者群に対して10未満の患者群と30以上の患者群で予後に関する相対危険度が高く、死亡率のリスクが高くなっています。

尚、透析患者の血小板数はやや減少している傾向にありますが、血小板数が少なくなるあるいは多くなる原因にはどのようなものがあるか次に整理しておきます。
     (血小板数減少)            (血小板数増加)  
   @尿毒症                   @真性・ストレス性多血症
   A薬剤性骨髄抑制             A感染症
   BHIT(へパリン起因性血小板減少症) B膠原病(関節リウマチ等)
   C肝炎・肝硬変                C原発性血小板血病
   D脾機能亢進症               D慢性骨髄性白血病
   E突発性血小板減少性紫斑病      E骨髄繊維症
   F血栓性血小板減少性紫斑病
   G播種性血管内凝固(DIC)

 

検査項目

網状赤血球0/00

略  語

レチクロ

基準値

4〜20

解  説

網状赤血球は、抹消血中の赤血球1000個に含まれる数(0/00;プロミレ)で表され、骨髄での赤血球産生の指標となります。
この数値は、貧血の鑑別診断に使われます。
網状赤血球の増加を示す疾患としては、溶血性貧血(赤血球寿命の短縮<破壊の亢進>に基く症状を主徴とする疾患の総称)、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血などがあります。網状赤血球が減少する疾患としては、急性白血病や再生不良性貧血があります。

 

検査項目

好塩基球(%)

略  語

Ba

基準値

0.0〜2.0

解  説

好塩基球は白血球の種類の一つで、この数値は、白血球に占める割合を表します。増加を示す病態・疾患としては、
 @慢性骨髄性白血病(好中球・好酸球ともに上昇する)
 A甲状腺機能低下症があります。
 尚、2005年、東京医科歯科大学の烏山一教授らは、血液中に極少量しか含まれていないこの「好塩基球」という白血球の一種が、アトピー性皮膚炎や喘息等慢性アレルギー疾患の発症の引き金役になっていることを発見しました。

 

検査項目

好酸球(%)

略  語

Eo

基準値

0.0(+)〜7.0

解  説

好酸球は白血球の種類の一つで、この数値は、白血球に占める割合を表します。花粉症等のアレルギー性疾患・感染症等でこの数値が上昇します。
尚、白血球分画の異常として、好酸球比率の増加に注意しなければなりません。具体的には、好酸球の絶対数をみた方がよいと言われています。絶対数からみた好酸球増加症は、抹消血100/μlあたり5個を超える場合を指します。抹消血で15個を超える場合は、何らかの背景疾患や関連する病態が考えられます。どのような疾患や病態があるのかについて次にまとめておきます。
  (好酸球数減少)      (好酸球数増加)  
  @ステロイド薬  @寄生虫疾患
  A免疫抑制薬   Aアレルギー性疾患(花粉症・喘息・蕁麻疹)
  B副腎不全    B膠原病(血管炎症候群)
           C薬物・化学合成物質アレルギー(透析回路・
            透析器含む)
           D感染症

 

検査項目

好中球(%)

略  語

基準値

40.0〜70.0

解  説

好中球は白血球の種類の一つで、この数値は、白血球に占める割合を表します。
 どのような疾患や病態があるのかについて次にまとめておきます。
       (好中球減少)             (好中球増加)
  @炎症の一部(ウイルス感染症の一部、   @細菌感染症(敗血症、 
  チフス、マラリア等)            肺炎、他)
  A無顆粒球症(薬剤の副作用で起こる    A血液疾患(白血病、骨 
   好中球減少)               髄繊維症、他)
  B肝硬変                 B組織損傷(心筋梗塞、 
  C薬剤、放射線障害等            手術後、火傷、他)
                       C非感染性炎症(リウマ 
                        チ熱、膠原病、他)   
                       D悪性腫瘍(胃癌、肺癌 
                        、他)

                       E薬物(アドレナリン、
                        ステロイド、
他)
                       F心理的ストレス等
 尚、透析患者では、好中球の割合が多く、リンパ球の割合が少ない傾向にあります。

 

検査項目

リンパ球(%)

略  語

Ly

基準値

20.0〜50.0

解  説

リンパ球は白血球の種類の一つで、この数値は、白血球に占める割合を表します。
どのような疾患や病態があるのかについて次にまとめておきます。
      (リンパ球減少)           (リンパ球増加)
  @リンパ腫          @ウイルス感染症(伝染性単核症<発熱、
  A再生不良貧血等        咽頭痛、リンパ節腫脹>、風疹等)
                 A急性・慢性リンパ性白血病
                 B甲状腺機能亢進賞症
                 C薬物過敏症等


検査項目

単球(%)

略  語

Mo

基準値

3.0〜8.0

解  説

単球は白血球の種類の一つで、この数値は、白血球に占める割合を表します。感染症の一部・急性炎症の回復期・単球性白血病・原虫・リケッチア症(昆虫媒介疾患)・中毒の一部等でこの数値が上昇します

 

検査項目

尿素窒素mg/dl

略  語

BUN

基準値

8〜22

解  説

腎臓の機能が悪化するにつれてこの数値が上昇していきます。
尿素窒素は、身体にたまる老廃物の代表格です。即ち、たんぱく質がエネルギーとして体内で“燃やされた”あとに残るカスです。
少し専門的に言えば、尿素窒素は血中尿素に含まれる窒素成分を表したものであり、また尿素は主に肝臓においてアンモニアより合成され、さらに主に腎臓から排泄されます。
血中の尿素窒素値は、肝臓での尿素窒素合成の低下や腎臓での排泄減少などによって変動し、腎機能あるいはその他全身諸臓器の機能の指標となります。
透析患者にとって、透析を終了した瞬間から次回の透析開始までの間の身体活動中に尿素窒素がどんどんたまっていくことはやむを得ないことですが、尿素窒素はたんぱく質の取りすぎや透析不足(透析中に充分老廃物が除去できなかった場合)があると高くなります。長期にわたって尿素窒素が高い状態が長く続くといろいろいろな合併症の原因になってしまいます。また、消化管出血でも高数値となりますので注意を要します。
尿素窒素は透析前の数値で、「70〜90」にすることが無尿の維持透析患者での標準値の一応の目安です。それと、透析前と透析後の平均値が65以上であれば、透析不足かたんぱく質の取りすぎが考えられます。
また、尿素窒素/クレアチニン比もたんぱく質摂取量を推測する有用な指標となります。適正な数値は6〜7程度です。7以上の数値が高リン血症と同時に認められるならば、高リン血症の原因は過剰なたんぱく質摂取によるものと推測され、直ちに栄養指導が行なわれるべきです。尚、尿素窒素/クレアチニン比が高く低リン血症を示す患者は全身状況悪化による栄養不良を意味します。
では逆に尿素窒素の濃度(BUN)について、低すぎることはないのでしょうか。尿素窒素が低いことは、尿毒素が十分抜けていることの証のようですが、実はこれが大いに問題なのです。前記の通り、尿素窒素の産生はたんぱく質摂取量に大きく依存しています。ですから、透析前の尿素窒素が低いということは、透析でよく抜いている証拠というよりは、あまりたんぱく質をひいては食事を十分摂取していない証拠と考える方が多くの場合あたっています。従って、尿素窒素を見る時には、透析前値はある程度上昇していて(60〜80mg/dlが目安)、かつ「TAC BUN」が十分に低いこと(50mg/dl以下)がよい透析状態であるということになります。

 

検査項目

クレアチニン(mg/dl)

略  語

CreaもしくはCRTN

基準値

男性0.6〜1.0・女性0.4〜0.8

解  説

腎臓の機能が低下するにつれてこの数値が上昇してきます。
クレアチニンも尿素窒素と同じで身体にたまる老廃物の一種です。
但し、尿素窒素が食事として取るたんぱく質の総量に大きく左右されるのとやや異なり、蛋白質の中でも肉を大量に食べた場合に高くなります。また、クレアチニンは筋肉からそのもとが出てくるので、全身の筋肉量によっても影響を受けます。
少し専門的に言えば、クレアチニンは、たんぱく質代謝から生じたある種のアミノ酸が肝臓内で合成されてできるもので、筋細胞内に取り込まれて筋肉やエネルギー代謝に利用され、その代謝最終産物として生じます。
クレアチニンは腎外性因子の影響をほとんど受けないため、腎機能の指標としては尿素窒素よりも優れており、個人差はありますがこれが8以上になったら、一般的に人工透析導入の目安と言われています。
クレアチニンは、無尿の維持透析患者では、透析前数値で男性は「12〜15」女性は「10〜13」が一応の目安です。
クレアチニンが低い場合には、尿が出ていなければその人の筋肉量が少ない(痩せている)ことが考えられます。今後の合併症にも関わってきますので、体調が許せば(足腰や骨が大丈夫であれば、)ある程度の運動を続け筋肉量を維持することが大事になってきます。
また、透析患者の場合、このクレアチニンとBUNが急激に増加しているときは、薬の副作用も疑う必要があります。降圧薬(特に新薬)でこの二つの数値が増加するケースが多く、これを見逃すと肝障害等を引き起こすこともあります。

 

検査項目

尿酸(mg/dl)

略  語

UA

基準値

男性4.0〜7.0・女性3.0〜6.0

解  説

尿酸は、たんぱく質を構成するある種の物質から体内で作られるものです。通常“痛風”のもとになる物質で、腎臓から排泄されるため腎不全の場合も体内に蓄積してきます。透析をしている場合、この値が高いからといって痛風になるわけではありませんが、たんぱく質の摂取が過剰であるとより高い数値になります。
この数値があまりにも高い場合には尿酸を下げる薬を飲む場合もあります。その他、飲酒・過剰な筋肉運動・ストレス・肥満でより高い数値になります。
透析患者の場合は透析前で「9.0以下」が望ましい数値です。
尚、尿酸は、核酸の代謝産物で確かに大量に溜まると問題ですが、尿毒症の毒素という面ではそれほど大きな比重を持っているものではありません。透析患者で透析前血清尿酸値が12mg/dlを超えるような著しい高尿酸血症を呈している場合は、透析時間の延長や血流量を増やすことで透析量を増やすか、それでも是正されなければ、尿酸合成阻害薬であるザイロリック等の「アロプリノール」の投与を検討します。

 

検査項目

ナトリウム(mEq/l)

略  語

Na

基準値

135〜147

解  説

ナトリウムの代謝は、主として副腎皮質ホルモンによって調節されています。塩分を取りすぎるとこの数値がやや高くなり、水分を取りすぎるとやや低い数値になります。下痢嘔吐がひどくても低くなります。
透析患者の目標値は透析前数値で「140以下」です。
尚、尿毒症物質が蓄積すると細胞外液の浸透圧の上昇により渇中枢が刺激されて、透析患者の透析前Na濃度は、健常人よりやや低めに出ます。即ち、健常人のNa濃度が135〜146mEq/Lであるのに対し、透析患者の透析前Na濃度は137mEq/L前後となります。透析患者の透析前Na濃度が低くなるのは、多くの場合塩分の過剰摂取や高血糖等のため口渇があり水分を大量に摂取したことによるもので、血糖を下げる治療等を行うとか、イーカムによる除水とか、中長期的には塩分・水分の制限・指導が行われます。
 以下に低ナトリウム血症(130以下)及び高ナトリウム血症(150以上)になる原因を載せておきます。
     (低ナトリウム血症)        (高ナトリウム血症)  
   @水過剰                @水欠乏
   ・水分の過剰摂取           ・意識障害による水分摂取不能
   ・心不全                 ・不感蒸泄、発汗の増加(発熱、熱射病)
   ・非代償性肝硬変           ・熱傷      
   A塩分欠乏               ・消化液喪失(下痢、嘔吐)
   ・消化液喪失(下痢、嘔吐、胃管   ・過剰な限外濾過(血液透析による過除水) 
    などによる消化液吸引)      A塩分過剰
   ・低Na透析               ・高Na透析 
   B偽性                  ・高張食塩水投与、重曹投与
   ・高血糖
   ・高脂血症
   ・高タンパク血症  

 

検査項目

カリウム(mEq/l)

略  語

基準値

3.5〜5.0

解  説

このカリウムは、私自身もかなり神経質になっています。なぜならば、大なり小なりほとんどの食品に含まれ、特に果物・生野菜・豆類等に多く含まれており、この数値が高くなると、高カリウム血症(6.0以上―6.5以上になると速やかに治療が必要―)を起こし不整脈から心不全を引き起こして死に至る危険性があるからです。(7.0以上で心臓停止の危険)従って、摂りすぎは禁物であり、生の果物・野菜は摂らない方が無難です。また便秘傾向や胃腸から出血している場合には、カリウムを多く含む食品をあまり食べていなくても高くなりますので注意が必要です。また、同じ量のカリウムを摂取しても筋肉量の大小によってカリウムの上昇程度が異なります。即ち、たとえ同じ量のカリウムを摂取しても、筋肉量の少ない透析患者ではカリウムがより大きく上昇します。従って、筋肉量が少ない高齢者や全身衰弱の著しい透析患者は高カリウム血症をきたしやすいようです。ときには嘔吐下痢等で低カリウム血症になる場合もあり、逆にカリウムをとらないといけなくなることもあるので厄介です。
健康な人は余分なカリウムは尿として排泄されますが、人工透析患者はそうはいきませんので、この数値が高い場合は薬を飲んででも下げる必要があります。いずれにしても、食生活の改善等主治医の先生や栄養士さんの指示に従うことが重要です。
透析患者の目標値は透析前数値で「3.5〜5.5」です。

透析後は「3.0〜4.0」でコントロールするのが理想的です。
血清カリウム値の参考評価を次に載せておきます。
 《血清カリウム値の参考評価》
 @6.5mEq/l以上・・・・・・危険
 A6.4〜6.0mEq/l・・・・要注意
 B5.9〜5.5mEq/l・・・・やや注意
 C3.6〜5.4mEq/l・・・・安全
 D3.5mEq/l以下・・・・・・低K血症要注意
 <8mEq/l以上になると心停止の危険性が高まります。>

尚、カリウム値が高い(6.0〜 6.5mEq/l)ときの7つのチェックポイントを紹介して おきましょう。
 1.野菜、フルーツの食べる量は多くないか。
 2.肉や魚、牛乳等の副食を摂取しすぎていないか。
 3.豆類(大豆・納豆・煮豆・ピーナッツ等)の食べる量は多くないか。
 4.いも類は食べすぎていないか。
 5.海草類(ワカメ・コブ等)等を摂取しすぎていないか。
 6.100%果汁のジュース・トマトジュース・野菜ジュースは飲んでいないか。
 7.食事の全体量、食事のバランスに問題はないか。


検査項目

クロール(mEq/l)

略  語

Cl

基準値

98〜108

解  説

クロールは、重炭酸イオンとともに重要な陰イオンで、細胞外液の約60%を占めており、ナトリウムやカリウムと同様に浸透圧の維持や酸塩基平衡の調節をつかさどっています。透析患者では、希釈性の低ナトリウム血症、低クロール血症の傾向にあり、96mEq/l以下は低クロール血症と定義されます。透析患者で高ナトリウム血症、高クロール血症を伴う場合は、高Na透析、血圧低下時の生理食塩水、高張食塩水投与による影響を考慮します。
 以下に低クロール血症(95以下)及び高クロール血症(110以上)になる原因を載せておきます。
     (低クロール血症)         (高クロール血症)  
   @水過剰                 @水欠乏
   ・水分の過剰摂取            ・意識障害による水分摂取不能
   ・心不全                  ・不感蒸泄、発汗の増加(発熱、熱射病)
   ・非代償性肝硬変            ・熱傷      
   A塩分欠乏                ・消化液喪失(下痢、嘔吐)
   ・消化液喪失(下痢、嘔吐、胃管    ・過剰な限外濾過(血液透析による過除水) 
    などによる消化液吸引)       Aクロール過剰
   ・低Na透析                ・高Na透析 
   B呼吸性アシドーシス          ・クロール過剰投与
   ・慢性閉塞性肺疾患            食塩、塩化アンモニウム、塩化カリウム、
                            アミノ酸製剤
                          B呼吸性アルカローシス
                            過換気症候群、サリチル酸中毒
 尚、クロール(Cl)は言わずと知れた塩(NaCl)の片割れですが、Naとの差が血液のアルカリ(炭酸水素・HCO3)の換算に用いられます。即ち、「炭酸水素=Na−Cl−(12〜14)」の式が多くの場合利用され、24mEq/l程度が正常です。この値が20mEq/l以下であれば、血液が酸性になっている可能性が疑われます。


検査項目

カルシウム(mg/dl)

略  語

Ca

基準値

8.4〜10.0

解  説

活性型ビタミンD製剤などを投与されている場合には、高カルシウム血症に注意が必要です。カルシウムはできるだけ基準値に近付ける必要があります。高カルシウム血症では、しびれ・便秘・腸閉塞・意識障害・をきたすことがあります。
透析患者の目標値は、透析前数値で「8.4〜(9.5)10.0」です。<( )内はより望ましい数値>
尚、必ず下記の補正カルシウム値(補正Ca値)を用います。

尚、体重増加の多いとき水分の増加により蛋白質が希釈されて検査値が低値を示すことがしばしばありますが、この影響を受ける最も顕著な例はカルシウム濃度です。即ち、蛋白と結合率の高いカルシウムの場合、体重増加が多いと一般的には低カルシウム血症を示すことが多いです。また、カルシウム濃度の数値が正常であっても、アルブミン濃度が低値であれば、実際は高カルシウム血症ということになりますので、注意が必要です。(この場合PTHの数値も要検討)

  <参考>Payneのカルシウム補正式
  補正Ca値(mg/dl)=実測血清Ca値(mg/dl)+〔4−血清Alb値(g/dl)〕

尚、透析前より透析後のカルシウム数値が高くなる場合は次の理由によるものです。 カルシウムは血液のPHによりイオン化カルシウムが変化します。アルカローシスになるほど結合型のカルシウムが増え、透析性のあるイオン化カルシウムは減ります。
従って、例えばカルシウム2.5mEq/Lの透析液であっても血液側にカルシウムが補充されます。

 

検査項目

無機リン(mg/dl)

略  語

基準値

2.5〜4.5

解  説

リンとカルシウムは共存関係にあり、腎不全ではリンは高めカルシウムは低めになります。
カルシウムを維持したり上げるためにも、リンを下げることが大切です。
リンは長期生存にとって最も厄介な毒素であり、リンが組織に蓄積されると様々な作用を及ぼすようになり、二次性副甲状腺機能亢進症(骨がもろくなる)や関節の周囲や血管の壁に異所性石灰化をきたします。また、かゆみ・動脈硬化等の直接の原因となります。(最近では、これらを「CKD−MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)」と呼ばれています。(詳細は、本HP左メニュー「人工透析Q&A」のQ97のA参照)
リンは、主にたんぱく質に含まれていますので、たんぱく質の取りすぎに注意する必要があります。保存料・着色料にはリン(リン酸塩類)が多く含まれますので、加工食品をできるだけ控目にすることも大切です。(ハム・ソーセージ、蒲鉾、市販の弁当、冷凍食品、嗜好飲料等)
リンを下げる薬として、「沈降炭酸カルシウム(商品名:カルタン・沈降炭酸カルシウム<粉>)」や「酢酸カルシウム(商品名:リンゴ酢カルシウム<保険非適用>)」等があります。これらの薬は、腸の中でリンを吸着して吸収されないようにして便とともに排泄します。また同時にカルシウムも少し吸収されるため、うまくいけば食事に気をつけてこの薬を飲むだけでコントロールが可能(カルシウムが適度に増えリンが下がる)となります。しかし、長期に服用するとカルシウムが上がりすぎるという欠点があります。そこで、新リン吸着剤として、カルシウムを含まない「塩酸セべラマー(商品名:レナジェル・フォスブロック)」や「炭酸ランタン(商品名:ホスレノール)」や「ビキサロマ―(商品名:キックリン)」が登場してきました。また、リンとカルシウムの数値を単純にかけ算をして「55」を超える状態が長く続くと骨以外の部位(関節や皮下、動脈の壁等)にカルシウムがくっつき、痛みや動脈硬化の進行になるので注意が必要です。さらに、筋肉量の減少は高リン血症を増悪させるので、この場合運動療法が有効です。
透析患者の目標値は、透析前数値で「3.5〜(5.5)6.0」です。<( )内はより望ましい数値>
異所性石灰化を発症させないためには、最近ではこの数値を「5.5」以下にするべきとの見方もあります。
尚、現実にはリン数値が高い透析患者は比較的多く、わが国においても1/3以上の透析患者でリン数値は6mg/dl以上と言われています。
また、日本透析医学会統計調査委員会によれば、透析前リン数値が7.0mg/dlを超えて高い透析患者でも、4mg/dl未満の患者でも、死亡のリスクが高いと報告されています。

 

検査項目

マグネシウム(mg/dl)

略  語

Mg

基準値

1.8〜2.4

解  説

マグネシウムは、食物摂取時に生体内に吸収され、細胞膜でのナトリウムやカリウムの輸送促進等の働きがあります。
透析患者の場合、マグネシウムはやや高くなります。普段はあまり気にする必要がありませんが、市販の胃腸薬にはマグネシウムが含まれているものがあるためむやみに飲み続けることは避けた方が良いです。

従って、透析患者における高マグネシウム血症のほとんどは、マグネシウムを含んでいる制酸薬や粘膜保護薬や浸透圧下剤の服用によって生じます。高マグネシウム血症には、血圧低下、悪心・嘔吐、うつ症状等があリますが、6mg/dlを超えないかぎり出現しません。また、通常の食事を摂っている透析患者でマグネシウムが欠乏することは極めて希です。 尚、マグネシウムが低いと、副甲状腺ホルモン(PTH)が上がるようです。

 

検査項目

総蛋白(g/dl)

略  語

TP

基準値

6.5〜8.2

解  説

血清中のたんぱく質は、アルブミンやグロブリン等100種類以上存在しており、それぞれ生命維持に重要な役割を担っています。総蛋白は、たんぱく質の濃度を示します。栄養不足や透析不足、老廃物の蓄積があると低くなります。この数値自体には、合併症がある場合などで個人差がありますが、今後できるだけ基準値に近づけ、それを維持していくことが大切です。
また体重増加(水分の蓄積)が多い場合薄められて見かけ上低くなってしまうことがあります。日頃の体重管理にも注意が必要です。

透析患者の場合も透析前で「6.5以上」が望ましい数値です。
尚、総蛋白濃度が透析前後で測定されている場合は、体重増加の度合いをある程度 類推することが可能です。即ち、臨床経験から透析前後の総蛋白濃度の変化(△T P)が1.4以上の場合は体重増加が基準より大きいことがわかります。(DWの5%以上よりはるかに多い)これとは逆に、透析前に比べ透析後の総蛋白が低下することがあります。これは、透析導入期にしばしば認められるもので、体重が増加し透析により除水しても血液の濃縮がみられないために起こるものです。このように血液の濃縮がみられない現象は、ドライウエイトの設定が甘いことがあります。
透析導入期だけでなく透析維持期においても、透析前後の総蛋白濃度が逆転した場合はドライウエイトをもっと低下させる必要があります。

 

検査項目

アルブミン(g/dl)

略  語

Alb

基準値

3.7〜5.2

解  説

アルブミンは、肝で合成される血清総蛋白の約60%と血清蛋白の中に一番多く含まれる蛋白の総称で、膠質浸透圧の維持に関係します。
栄養不足(食事の質と量)や透析不足、老廃物の蓄積、肝障害があると低くなり、免疫力・抵抗力が低下します。この数値自体には、合併症がある場合などで個人差がありますが、今後この数値が低ければできるだけ基準値に近づけ、それを維持していくことが大切です。
また、体重増加(水分の蓄積)が多い場合薄められて見かけ上低くなってしまうことがあります。日頃の体重管理にも注意が必要です。
透析患者の目標値は、長期生命維持のため透析前で「3.5以上」が望ましい数値です。(理想4.0以上)

尚、透析液のエンドトキシン濃度が高い場合には、透析液側から血液側へエンドトキシンが移行し、その結果、アルブミン値が低下するとの報告があります。
ここで、アルブミンとドライウエイト(DW)と標準体重を使った「GNRI」と
いう透析患者の栄養指標を紹介しておきましょう。
・GNRI=(14.89×アルブミン値)+(41.7×<DW/標準体重>) 
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22
(注)<DW/標準体重>で、DWが標準体重を上廻る場合は「1」とします。
・評価
「GNRI」91以下=栄養面で見て死亡リスク高い。
「GNRI」92以上=栄養面で見て死亡リスク低い。

  

検査項目

総コレステロール(mg/dl)

略  語

T―cho

基準値

120〜219

解  説

総コレステロールは、血液中の何種類かあるコレステロールの総量です。
コレステロールは、細胞膜の構成、胆汁やステロイドホルモンの前駆(さきがけ)物質になるなど重要な機能をもっています。
もともと動脈硬化が強い場合や狭心症、脳血管障害等の血管の病気になったことがある場合には、この数値が高いと合併症の増悪をきたす可能性がありますので、下げる治療を透析患者にも行なわれます。
また、高総コレステロールは動脈硬化そのものを促進しますが、同時に栄養状態の指標でもあリます。従って、高すぎる総コレステロールと同様に、低すぎる総コレステロールでも死亡のリスクは増大します。
日本透析医学会統計調査委員会によれば、糖尿病患者においても非糖尿病患者においても、140mg/dl未満の低い総コレステロール値の患者で死亡のリスクは高く、さらに100mg/dl 未満では特に死亡のリスクが高く、一方240mg/dl以上においても死亡のリスクが高くなる傾向が認められ、260mg/dl以上では有意に高い死亡のリスクが認られています。
尚、総コレステロールだけでなく、中性脂肪やHDLコレステロールも、検査前12時間以上絶食して測定するのが原則です。透析患者は朝食を摂ってくる場合が多いので、これらの検査数値は高めに出る傾向があります。
透析患者の総コレステロールは、180mg/dl以下を目標にしましょう。
尚、総コレステロールからHDLコレステロールを差し引いた非HDLコレステロールは、HDL以外の動脈硬化惹起性リポ蛋白の総称を示し、HDLコレステロールの増加があまり顕著でない透析患者では心血管疾患(CVD)のリスクとして有用なパラメーターとなります。K/DOQIガイドラインでは、透析患者の非HDLコレステロールを「130mg/dl未満」にすることを推奨しています。

 

検査項目

中性脂肪(mg/dl)

略  語

TG

基準値

50〜149

解  説

中性脂肪は、食事によって摂取される脂肪のほとんどを占めエネルギー源として使われます。余分な中性脂肪は脂肪組織や肝臓に貯蓄され、これが肥満の原因となります。
中性脂肪は、こうした肥満や糖分の取りすぎで高くなる傾向がありますが、透析患者の場合は腎機能正常者よりやや高めになります。あまりにも高くなりすぎると急性膵炎の原因になります。
透析患者の場合は男性200以下(可能であればいずれも健常者と同様)、女性150以下を目標にします。(透析前)
総コレステロールの値はあまり食事の影響を受けませんが、中性脂肪の値は食事の影響を受けやすく、食後4〜5時間でピークとなります。このため、12〜16時間の絶食後に採血して検査するのが原則です。従って、中性脂肪の値で一喜一憂する必要はありません。また、中性脂肪の値はアルコールで上昇します。中性脂肪の値が高い場合は、歩いたり、体操したり、掃除等の家事に力を入れたりしましょう。運動はHDLコレステロールを増加させます。「透析と運動について」は、本HP「その他インフォメーション【23】」を参考にされて下さい。尚、LDLコレステロールは、わが腎クリニックでは血液検査項目に入っていますが、中性脂肪の値が400mg/dl以下であるならば「フリードワルドの式」を用いて次の通り算出されます。
(LDLコレステロール値)=(総コレステロール値)−(HDLコレステロール)−(中性脂肪値×0.2)
<LDLコレステロール値⇒腎機能正常者基準値=140mg/dl以下、透析患者の目標値=100mg/dl以下>

 

検査項目

HDLコレステロールmg/dl

略  語

HDL―C

基準値

男性40〜80・女性40〜85

解  説

HDLコレステロールは、俗に善玉コレステロールと呼ばれているもので、血管壁に付着する余分なコレステロールを取り除いて肝臓へ運ぶ作用があり、この数値の低値は動脈硬化を示唆しています。
透析患者の場合は「30」以上を目標にします。(透析前)

検査項目

LDLコレステロールmg/dl

略  語

LDL―C

基準値

70〜139

解  説

LDLコレステロールは、俗に悪玉コレステロールと呼ばれているもので、肝臓から末梢組織へコレステロールを運搬するというHDLコレステロールとは逆の働きをします。LDLコレステロールが大量にあると、コレステロールが沈着した血管壁にさらにせっせとコレステロールを運搬し、動脈硬化を促進する方向に働きます。透析患者の場合は「100」未満を目標にします。(透析前)

 

検査項目

AST(GOT) (IU/

略  語

AST

基準値

8〜40

解  説

AST(GOT)は、心臓や肝臓に多く含まれる酵素です。急性肝炎の早期診断、経過観察の指標となります。また、慢性肝炎の再燃時に高くなり、さらに心筋梗塞や心筋炎でも高数値となります。こういった病気のない透析患者は通常この数値は低くなりますが、いずれにせよこの数値が変動する場合にはいろいろ調べてみる必要があります。透析患者の場合、基準値上限の30後半から40くらいであっても異常と考えることがあります

 

検査項目

ALT(GPT) (IU/

略  語

ALT

基準値

5〜35

解  説

ALT(GPT)は、急性肝炎の早期診断、経過観察の指標となります。また、慢性肝炎の再燃時に上昇し、AST(GOT)より肝臓に多く含まれます。こういった病気のない透析患者は通常この数値は低くなりますが、いずれにせよこの数値が変動する場合にはいろいろ調べてみる必要があります。透析患者の場合、基準値上限くらいでも異常と考えることがあります。

 

検査項目

LDH(IU/

略  語

LDH

基準値

101〜224

解  説

LDHは、多くの組織に存在するので、検査数値が高くなってもどこに異常があるか分かりません。LDHには5つのタイプがあり(アイソサイムと言います)、それぞれの組織によって、その分布に特徴があります。この数値が高い場合には、どのアイソサイムが上昇しているかを調べることによって、病変部位を推測できます。
高い場合には、筋肉疾患、溶血性貧血、急性肝炎、心筋梗塞、癌等が疑われます。

 

検査項目

ALP(IU/

略  語

ALP

基準値

93〜344

解  説

ALPは、肝臓・骨・胆のうに多く含まれる酵素で、通常肝臓、胆のう胆管の異常で高くなるものとして知られていますが、透析患者の場合にはむしろ骨の異常を表す指標になります。長期透析を続けているといろんな原因(主として低カルシウム高リン)で副甲状腺(甲状腺の裏にある米粒大の小さな組織)が腫れてきて、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、このホルモンが骨に働いて(骨に負担をかけて)骨がもろくなったり、骨のカルシウムが足りなくなったりするわけです。症状としては、関節や骨の痛みが生じます。(肩、手の関節や脊椎、大腿骨におこることが多いです)そうした場合にALPが高くなってきます。副甲状腺の腫れは初期のうちであればビタミンDの飲み薬で調節して抑えることもできますが、ある程度以上の腫れになると手術で取ってしまうことも必要になります。

 

検査項目

γーGTP(IU/

略  語

γーGTP

基準値

男性70以下・女性30以下

解  説

γーGTPは、健康な人でもお酒の飲み過ぎで高くなりやすいもので、一般の検診にも使われているおなじみの指標です。胆汁うっ滞時・アルコール性肝障害・肝悪性腫瘍のときこの数値が上昇します。

  

検査項目

コリンエステラーゼ(U/l

略  語

ChE

基準値

260〜380

解  説

コリンエステラーゼは、肝臓の機能を表す数値です。肝疾患、特に慢性の肝疾患の肝機能検査として必須の検査です。ChEは、たんぱく合成能に左右されるため、アルブミン数値が並行して変化することもあります。
このコリンエステラーゼの基準値以上の高値は、まず脂肪肝が疑われます。
また、コリンエステラーゼの半減期が2日から3日と、アルブミンの20日に比べ短いので、鋭敏に肝臓でのたんぱく合成能を見ることができます。従って、アルブミンが多少低下していても、コリンエステラーゼが正常値を保っていれば、蛋白異化(体を構成するたんぱく質を壊して栄養分に変える)には傾いておらず、摂取したたんぱくは合成されていることを意味します。つまり、栄養的には問題ないと言うことができます。

 

検査項目

総ビリルビンmg/dl

略  語

T−Bil

基準値

0.2〜1.2

解  説

総ビリルビンは、肝臓の機能を表す数値です。高数値を示す場合(黄疸)が異常となります。

 

検査項目

血清アミラーゼ(IU/

略  語

Amy

基準値

33〜115

解  説

血清アミラーゼは、主に唾液腺や膵臓から分泌され、その他肝臓・肺・心臓・横紋筋・腎臓・小腸・乳腺・甲状腺・脂肪組織等にも含まれています。
アミラーゼは正常でも一部血中に移行し、さらに尿中にも排泄されますが、膵障害があるときは血中、尿中に増加し、この数値が上昇します。
急性膵炎・慢性膵炎・膵癌等の膵疾患、唾液腺疾患、腹部疾患等の場合、アミラーゼの測定は診断上重要な指標になります。また、肺癌・卵巣癌などの腫瘍は、アミラーゼを産生するので腫瘍マーカーとしても利用されます。
透析患者の場合、基準値(アミラーゼの基準値は測定方法によって異なります)の3倍くらいまでは異常ではないと考えて大丈夫なようです。アミラーゼが「病的に高い」とすると、一番問題になるのは膵炎という膵臓の病気です。膵炎は腹痛や下痢といった症状を伴いますので、このような症状がなく、アミラーゼの値が基準値上限の3倍以内であれば心配はいらないと考えられています。

 

検査項目

グルコースmg/dl

略  語

Glu

基準値

60〜110(空腹時)

解  説

グルコースは、いわゆる血糖値のことで血液中のブドウ糖濃度を示します。糖尿病でこの数値が上昇します。特に高齢透析患者には、低血糖発生時の自覚の問題等から、厳格な血糖管理は行なわないというのが一般的なようです。次に健賢糖尿病患者血糖コントロール(ここではグルコースのみ)の評価を載せておきます。糖尿病透析患者の場合も、この評価をベースに日々の血糖管理を行いましょう。     
            (優)    (良)     (可)   (不可)
  ・空腹時血糖値   80〜110未満   110〜130未満  130〜160未満   160以上  
   (mg/dl)
    ・食後2時間後  80〜140未満   140〜180未満  180〜220未満   220以上  
   血糖値
   (mg/dl)
 

 

検査項目

血清鉄(μg/dl)

略  語

Fe

基準値

男性70〜160・女性50〜140

解  説

血清鉄は、低いと貧血の原因になります。(鉄欠乏性貧血)
エリスロポエチン製剤(透析の時に注射する造血ホルモン、商品名エポジン、エスポー)が効きにくい場合に補うことが多いです。注射と内服薬があります。エリスロポエチン製剤使用時はフェリチン等のデータも参考にします。
透析患者の場合は、この数値を70〜80以上、100位を目標にします。(透析前)
 尚、体内の鉄の不足は、まず貯蔵鉄の減少として現れます。早期の鉄欠乏は「血漿フェリンチン値」の低下によって診断されますが、さらに鉄欠乏が進行してくると「血清鉄」が減少し始めます。しかし、透析患者では血液中で鉄を運搬するトランスフェリンの血清濃度が低いので、たとえ鉄欠乏がなくても血清鉄は低値を示すことが多いです。従って、「血清鉄」を鉄欠乏の指標として用いるのは適切ではありませんが、血清トランスフェリン濃度を反映する総鉄結合能(TIBC)に対する「血清鉄」の比率(Fe/TIBC×100;鉄飽和率<TSAT>)は、鉄欠乏の指標として用いることができます。 血液透析患者は、検査のための採血やダイアライザーへの残血のため、年間平均2gの鉄を失います。従って、「エリスロポエチン」を投与されている透析患者では鉄の補充を行なわない限り、いずれ鉄欠乏に陥ります。
鉄欠乏性貧血の診断・治療は、鉄飽和率を含め次表の3項目を総合的に判断して、鉄剤 (「フェジン」等)の投与を決定します。
鉄欠乏性貧血の診断
@ 鉄飽和率〔Fe/TIBC×100〕or〔Fe/(UIBC+Fe)×100〕 20%以下
A 血漿フェリチン濃度 100ng/ml以下
B MCV 4〜5ヶ月間にわたって低下傾向

@ 鉄飽和率〔Fe/TIBC×100〕or〔Fe/(UIBC+Fe)×100〕 20%以下
A 血漿フェリチン濃度 100ng/ml以下
B MCV 4〜5ヶ月間にわたって低下傾向

 尚、「鉄欠乏」は“状態”であって、「貧血」は“結果”です。「鉄欠乏=貧血」でなく、「鉄欠乏⇒貧血」と考えましょう。それから、小球性貧血(「MCV」80以下)の患者では、赤血球をじっくり育てることが大切で、エリスロポエチンを投与せず、鉄剤の静脈注射で対応するのはこのためです。
最後に付け加えておきますが、鉄剤の静注は、酸化ストレス、感染症、C型肝炎を悪化させ、動脈硬化に関連する可能性があります。
但し、日本透析医学会が貧血治療のガイドラインで鉄欠乏の指標として、フェリチン100ng/ml未満としたのは誤りであり、フェリチン60ng/ml未満、鉄飽和率(TSAT)20%以上の群がHbが最も高く、フェリチン60ng/ml未満が適切であるとしたこの意見が少しずつ浸透してきたとも言われています。

 

検査項目

UIBC(μg/dl)

略  語

UIBC

基準値

139〜297(年齢とともに減少)

解  説

UIBCは、鉄欠乏性貧血・真性多血症等でこの数値が高くなり、慢性感染症・肝疾患・悪性腫瘍等で低い数値になります。

 

検査項目

TIBC(μg/dl)

略  語

TIBC

基準値

299〜395

解  説

TIBCは、UIBCと同様鉄欠乏性貧血・真性多血症等でこの数値が高くなり、慢性感染症・肝疾患・悪性腫瘍等で低い数値になります。
尚、TIBCが高い人は『栄養状態が良い』とも評価されます。
尚、TIBC(総鉄結合能)が250以上あり、鉄飽和率(Fe/TIBC×100)が30%程度あり、フェリチンが100以下の透析患者は、鉄利用の達人と言うことができます。

 

検査項目

CRP(定量) mg/dl

略  語

CRP

基準値

0.30未満

解  説

CRPは、感染症・悪性腫瘍・心筋梗塞等、組織の炎症や崩壊があると血中に増加するたんぱく質で、あらゆる炎症のモニターとして有用であり、血中のCRP濃度を知ることにより、炎症や組織障害の存在を推測できます。
透析患者の約半数で、臨床的に明らかな感染症がないにもかかわらずCRPが持続的に0.4mg/dl以上に上昇しています。このような場合、CRPが高いほど死亡のリスク、特に心血管系疾患による死亡のリスクが高いことが知られています。 
尚、透析液のエンドトキシン濃度が高い場合で、特にハイパーフォーマンス膜を使用している場合には、透析液側から血液側へエンドトキシンが移行し、その結果、CRPが上昇すると報告されています。
 尚、前記のようにCRPは、透析患者では健常者に比べ高値傾向を示し、また透析患者だけでなく健常者とも高齢になるにしたがって高値となります。男性は女性よりやや高い傾向を示します。透析患者の場合の標準値は、「0.5mg/dl以下」です。

 

検査項目

ヘモグロビンA(%)

略  語

HbA

基準値

4.3〜5.8

解  説

ヘモグロビンAcは、糖尿病の代表的な指標であり、血糖が高い時間が長いほどこの数値が高くなります。その時の血糖値が比較的良くてもこの数値が高い場合には、特に食後にかなりの高血糖になっていることが予測されます。糖尿病の場合7%(本当は6%位)を切ることが目標です。透析患者の場合にはやや低めにでてしまいますので、腎不全のない糖尿病患者よりちょっと厳しく考えるのが理想です。この数値で糖尿病患者の1〜2ヶ月前の血糖のコントロール状態(平均血糖)がわかってしまいますので、ごまかしのきかない指標です。健腎糖尿病患者のヘモグロビンA1cの評価を参考までに次に載せておきます。

        (優)    (良)    (可)    (不可)
・HbA1c 5.8%未満 5.8〜6.5%未満 6.5%〜8%未満  8.0%以上

尚、エリスロポエチン製剤の投与により、ヘマトクリットが急速に上昇している時期には、ヘモグロビンA1cは見かけ上、低値を示すことに気を付けなければなりませんが、このような場合に用いるヘモグロビンA1c補正式があります。

  補正ヘモグロビンA1c=実測ヘモグロビンA1c+0.19×ΔHt-0.04

 但し、ΔHtはヘモグロビンA1c測定時におけるヘマトクリット値とその2週間前のヘマトクリット値との差を示します。(本覧のヘモグロビンA1c値は「日本糖尿病学会のJDS値」で表示)

尚、かつて使われていた「ヘモグロビンA1c値」は日本糖尿病学会のJDS値(JapanDiabetes Sosiety:日本糖尿病学会値)です。それに対して、米国やEUをはじめ大部分の国で使われている「ヘモグロビンA1c値」は、NGSP値(National Glycohemoglobin Standardization Program:国際基準値)で表されています。この国際基準値は、わが国で使われていたJDS値に「0.4」を足す値とほぼ同じです。平成24年4月1日より、「ヘモグロビンA1c」の値は、NGSP値を用い、当面の間(2013年3月まで)、JDS値も併記することになりました。しかしながら、このHP上では、2013年3月までは、使いなれたJDS値を使うことにしておりまので、ご承知おきください。


検査項目

グリコアルブミン(%)

略  語

GA

基準値

11.8〜16.3

解  説

グリコアルブミンは、半減期が約17日間とHb(60〜90日)より短いため、ヘモグロビンA1cより、より短期の血糖の指標として厳格な血糖コントロールが必要なときに使用されますが、腎不全や透析患者には厳格な血糖コントロールが必要なことが少なく、また腎不全や透析患者では最終糖化産物(AGE)が血中に蓄積することが知られており、偽上昇をきたすと考えられていますので、一般的には用いられません。従って、透析患者の正常値は不明です。しかしながら、ヘモグロビンA1cに比べ、増血剤エリスロポエチン製剤による変動がないグリコアルブミンを血糖管理の指標とするのが良いとする考え方もあり、血糖コントロールの参考になるので、私の場合必要に応じ検査してもらっています。
因みに、2013年3月に日本透析医学会から発表された「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」によれば、血糖コントロールの指標について、貧血やESA製剤の影響を受けないグリコアルブミンを推奨しています。その管理目標値ですが、「20%未満」、また、心血管イベントの既往歴を有し、低血糖傾向のある対象者には「24%未満」をそれぞれ暫定的目標値としています。本ガイドでは、グリコアルブミンの測定頻度は、月1回を推奨しています。


検査項目

心胸比

略   号

CTR

基準値

男性50%以下・女性55%以下

解  説

胸部のレントゲン写真でみた胸の巾に対する心臓の巾の割合を言います。余分な水分が身体にたまってくるとこの数値が大きくなってきます。但し、心臓の病気(弁膜症・心筋症・心不全等)があったり、長時間に高血圧で心筋の肥大があったりするとこの基準数値以上でもよしとする場合があります。また、最初から心臓がかなり小さい人もいますので、50%まで体重を増やす(除水をひかえる)ことは間違いです。また、細身の人の心胸比は、大きめになります。
いずれにしても、透析導入後の安定期以後はこの数値が変化しないように適正体重(ドライウェイト)を調節する必要があります。
尚、心胸比拡大をもたらす病態としては次のものがありますので、認識しておく必要があります。
 1.貧血
   貧血では、循環血流量が増加し心胸比を拡大させるため、エリスロポエチンを
   投与して適正なヘマトクリットにて心胸比を評価しなければならない。
 2.腹水・肥満
   心臓が横位となり心胸比が拡大したようにみえる。心エコーにて心臓の内腔を
   評価する必要がある。
 3.高血圧等による心筋の肥厚
   心エコーにて心筋の肥厚を確認し、その分を加算しなければならない。
 4.心疾患
   弁膜症・心筋梗塞・心房細動・尿毒症性心筋症
 5.シャントの過剰発達
   特に肘部のシャントは過剰血流により心胸比を拡大させることがある。
 6.心嚢液貯留
   心エコーにて確認し、治療を検討する。

 

 

検査項目

心電図

解  説

心電図検査では、
@不整脈の有無
A虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の有無
B高血圧を伴う心肥大の有無
C心臓病の有無
を調べます。
心臓の疾患に関わる検査の中でも比較的簡単に行なえるので、透析患者に限らず病気発見の第一の手がかりとしてよく用いられるのがこの心電図検査です。この検査で異常が出れば他の検査も行ない、それにより、狭心症や心筋梗塞等の虚血性心疾患、不整脈・心臓肥大・心筋炎・冠動脈不全・高血圧症・動脈硬化症等の発見をします。


検査項目

透析量

略    語 Kt/V
目 標 値 1.0〜1.2

解  説

「透析量(Kt/V)」は、1回の透析で身体の体液量に比べ何倍の血液量から尿素が浄化されたかを表します。「Kt/V」の「K」はダイアライザーの尿素を浄化する能力(尿素クリアランス)、「t」は透析時間、「V」は総液体量を表します。透析患者の尿毒症に起因する有病率は、この「Kt/V」が0.8以下で高く、0.9〜1.5へと上がるほど持続的に減少します。できるだけ1.2以上が望ましいと言われています。「透析量(Kt/V)」は、1回の透析で身体の体液量に比べ何倍の血液量から尿素が浄化されたかを表します。「Kt/V」の「K」はダイアライザーの尿素を浄化する能力(尿素クリアランス)、「t」は透析時間、「V」は総液体量を表します。透析患者の尿毒症に起因する有病率は、この「Kt/V」が0.8以下で高く、0.9〜1.5へと上がるほど持続的に減少します。できるだけ1.6以上が望ましいと言われています。「透析量(Kt/V)」の数値が低い場合は、一般的には透析時間の延長(5時間以上透析)が最も効果があると言われています。その他の方法としては、シャントの状態や穿刺血管の太さなど個人差がありますができ得る限り血流速度を上げるとか、クリアランスの大きいダイアライザーに変えるとか、「血液透析濾過法(HDF)」に切り替えるとかがあります。


検査項目

PCR(g/kg/日)
目 標 値 0.9以上

解  説

たんぱく質が適正に摂れているかどうかの血液検査には、BUN・総蛋白・アルブミン等の他、[PCR(蛋白異化率)]という指標があります。「PCR」は栄養状態の指標であり、単位は(g/kg/日)です。この数値の計算には、正確には、前回終了時の尿素窒素(「BUN」)数値と次回透析前の尿素窒素(「BUN」)数値が必要で、連続する2回の透析で採血する必要があります。(一透析日の透析前後の採血でも一応計算可能です。)「PCR」は、安定した透析患者では食事記録による1日のたんぱく摂取量と密接に関連します。ほぼイコールと考えてもいいと思います。
透析患者ではこの「PCR」は「0.9g/kg/日以上」、糖尿病がある場合は「0.7g/kg/日以上」を目指します。一般的に言って、この数値が「1.0〜1.2g/kg/日」となるようにたんぱく質は摂りたいものです。


検査項目

インタクトPTH(pg/ml)

略    語 i−PTH
基 準 値 10〜64

解  説

副甲状腺ホルモン(PTH)は、84個のアミノ酸から構成される「ポリペプチド」で、生体内の「カルシウム(Ca)」及び「リン(P)」の代謝調節を行っている重要なホルモンです。
副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌状況を調べる血液検査指標は、わが腎クリニックではそれまで「インタクトPTH」を使ってきましたが、平成17年11月7日の血液検査から「whole-PTH」を使用することになりました。「インタクトPTH」は、「PTH」の全長(1−84)のみを検出すると考えられていましたが、1998年に本来の「PTH(1−84)」以外に他の6種類のフラグメント(断片)も測定してしまっていることが明らかにされました。1999年には本当に完全な(1−84)PTHを測定する方法が確立されました。これが「whole-PTH」と言うものです。従って最近では、こちらの方も二次性副甲状腺機能亢進症の診断や治療の指標として用いられています。しかしながら、わが腎クリニックでは平成23年5月2日の血液検査から「インタクトPTH」にまた切り替わりました。
日本透析医学会の「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」によれば、透析患者の場合の「インタクトPTH」の管理目標値は、透析前数値で「60〜240pg/ml」とされています。



検査項目

オステオカルシン(ng/ml)

略    語 OC
基 準 値 3.1〜12.7

解  説

オステオカルシンは、骨芽細胞により合成される蛋白質で、骨疾患において骨の代謝回転状態を把握する骨代謝マーカーです。<測定法:IRMA (ビーズ固相法)>
透析患者では、30〜80ng/ml前後がOC管理の目標値です。

透析患者の場合は、この範囲以下で低回転骨、この範囲以上で高回転骨の状態にあると判断されます。


検査項目

hANP(pg/ml)

基 準 値 40以下

解  説

「hANP」は、透析終了時採血でみる体液量管理指標で、正式には「血漿心房性Na利尿ホルモン」と言います。ドライウェイト判定の参考数値です。「hANP」は、心房から分泌される半減期が2分と短いホルモンです。心房が伸展されると「hANP」の分泌量は増大します。心房が伸展されるのは、循環血液量が増大した場合、即ち、溢水がある場合とうっ血正心不全が存在する場合です。従ってもし、うっ血性心不全がないのであれば、透析終了後の血漿「hANP」が正常範囲内あるいは正常上限となったことをもって、基本的には患者の循環血液量は正常範囲内にあるか、あるいは溢水は是正されたとみなすことができます。即ち、透析患者はドライウエイト(DW)の状態にあると考えてよいと思います。
透析患者の場合、「hANP」は、上限として「100未満」が許容範囲とされています。
(理想的には「40〜60」を目標、「25未満」は体液減少状態と判断されます。)